2006年02月02日

クレド



今私たちは「クレド」を作っています。
これは私たちのクリニックをさらによくしていくための『改善』一環であり、基幹となるものです。
この改善に関しては、リッツ・カールトンホテルのサービスを参考にしています。



上記本より「クレド」の説明を抜粋すると、
............................................................................

クレドとはリッツ・カールトンの理念や使命、サービス哲学を凝縮した不変の価値観であり、時流や地域性に左右される性質のものではないのです。
クレドはマニュアルではありません。
クレドは心で納得して実践するものです。
同じ感性と価値を共有した人が本当に心からクレドに納得していれば、マニュアルのように細かい決まりを定めなくても、自然に同じ振る舞いができるというのがクレドの基本的な考えです。
............................................................................




これがリッツ・カールトン・ホテルのクレドです。
............................................................................

リッツ・カールトン・ホテルはお客様への心のこもったおもてなしと快適さを提供することをもっとも大切な使命と心得ています。

私たちは、お客様に心温まる、くつろいだ、そして洗練された雰囲気を常にお楽しみいただくために、最高のパーソナル・サービスと施設を提供することをお約束します。

リッツ・カールトンでお客様が経験されるもの、それは、感覚を満たすここちよさ、満ち足りた幸福感、そしてお客様が言葉にされない願望やニーズをも先読みしておこたえするサービスの心です。
............................................................................

このクレドを作るにあたり、私マルオカの押し付けではいけないと思っています。
そのため前回のスタッフミーティング時に宿題を与えました。
「クレドに入れたい言葉をそれぞれ5つ考えてきてください。」

昨日それを集めました、マルオカの言葉も入っていますし、重複したものもありましたので、
このような言葉が集まりました。

共に歩む
精密な検査と確かな治療計画
あなたは私
落ち着いた

出会いを大切に
信頼を築く
尊重
再会
笑顔
親しみ
明るい
なごむ
親身
大切な時間
臨機応変
心遣い
感動
心配
納得できるご説明
患者さまの努力に協力
信頼関係
感謝

これを文章に仕上げ丸岡歯科クリニックの「クレド」とするつもりです。

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年12月09日

遠いところからの・・・

先日ある方からメールで、治療に関するご相談を受けました。
しかし、メールだけでは内容が把握し辛く、「とりあえず実際にお診せいただかないと」とお返事をしました。
またかなり遠い(関西圏外)こともあり、「通院できますか?」ともお尋ねしておきました。
しかし、かなり悩んでおられた様子で、今週の水曜日にお越しになり拝見をしました。
2時間半をかけていろいろなお話や検査をし、治療のアウトラインを提示させていただきました。

それでご納得いただけたようで、こんなメールが今日届いていました。

..................................................

こんばんは。●●です。
昨日は難しい歯の症例にもかかわらず、長い時間じっくり診ていただいて本当にありがとうございました。
丸岡先生が明るくハキハキ対応して下さるので、すごくリラックスして治療を受ける事ができました。
また、受付の方も、衛生士さんも笑顔の素敵な方ですね!
自然にお話をして下さったので、すごくうれしく、これまたリラックスする事ができました。
私の中で「入れ歯しかない!と言われるのは、ほぼ確実だろうな〜!けれど、沢山の症例をされている先生が言われるんだったら本当だと思う。
そしたら入れ歯にする事を決心しよう!」と思って受診しましたので、「ブリッジで対応できますよ」と言っていただいてホントにうれしく、ビックリしました。
今まで何を聞いても「多分ダメです。無理です。他の歯医者に行っても同じ事です。」と言われていた私ですので、正直、頭の中をどう整理したらいいのかとまどってしまいました〜(いい意味で!笑)

先生にお会いできて良かったなぁ〜と思っています。治療の幅が広がりましたし、色んな事を前向きに考えられるようになりました。
例えば○○○○○の事。
先生から、「治療できるかわからないけれど、診せる価値はあると思いますよ!」と言っていただいた事で、私も望みを持つ事ができました。

それから、フロスの使い方も教えていただいたので、私としてはとても収穫の多い受診でした。
帰って早速フロスの使い方を偉そうに主人に教えました(笑)!先生のクリニックから買っていったフロスはとても使いやすいですね〜!
主人も大絶賛です!
衛生士さんにもお話しましたが、フロスの重要性を知ったのは恥ずかしながら先生のクリニックのHPを見てからなんです。
それから毎日、私も主人もフロスをするようになりました。
前の歯医者でも定期検診や、フロスの重要性を教えてくださってたらな〜!とものすごく思います。
それでは〜〜日はまたよろしくお願いします。スタッフの方にもよろしくお伝えください!
..................................................

●●さん遠い所からの通院は大変でしょうが、頑張ってくださいね。
私たちも最善を尽くします。

この週末に●●さんのプランニング模型を心をこめて作っておきますね。

 

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 09:03| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月22日

医は忍術?それって目くらまし?

内田樹先生のお友達のヒラカワさん


この「医は忍術」のエントリーをご覧いただきたい。

その前の「脱着交換される身体」のエントリーにいたってはもう・・・

ああ・・・・

これってマインドコントロールってやつかなぁ?

今までの経過はここからたどって下さい。

今日は忙しいので、これだけ。

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年11月08日

KAIZEN #7

KAIZENは続く

[改善 #7]

今まであまり目の行き届かなかったところを、患者様の目線で徹底的に掃除することにした。
今回は床のワックスがけも業者に頼まず、診療時間を区切ってスタッフに交代でやってもらった。
そのようにしたら院内の整備についてまた何か気づくこともでてくるのだと思う。



誰だ?



今日は、あややが当番である。

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:17| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月26日

退く勇気


本日この部位にインプラントを入れる。
もうこの患者様には5本のインプラントを入れている。
もちろんそれらは全て成功している−と言ってもまだ上に歯を作ってはいないが。

この部位が最終となる。
骨の状態が悪く、なかなか最終プランが決定できなかった。

この症例はホームページに詳しい経過を載せるので、仔細は割愛する。
まだ4本ご自分の歯が残っているが、どの歯も先々の見通しは暗い。

しかし本日の手術がうまくいけば、予後の悪い4本の歯を抜歯し、インプラントだけでまったくご自分の歯と同じようなブリッジを入れることが可能となる。

ここまで何度もご説明をし、何度も話し合いながらここまでたどり着いた。

「先々のことを考えると、この場所にはあと2本入れたいのです。
 今日、1本は確実に入れることができると思います。
 しかし、もう1本は非常に短いインプラントを考えていますが、それでも骨の状態が悪ければ手術はしません。
 それは実際に骨を見てからの判断になります。
 私は決して無理な手術はしません。」
「はい。よくわかっています。
 私が見てもここは下がって(骨がない)いますねー。」


1本は入った。

問題はその奥。
しばらく見て、計測して、考えた。
確率は1/2。

悪いほうに転んだときの患者様の顔が浮かんだ。
入れなかった。

冒険家は言う。
「退く勇気も大事」

冒険とは危険を冒すこと。
その人たちでもこう言う。
歯科医は冒険家ではない。

命を救えるかどうかの瀬戸際なら、0.1%の確率に賭けることも必要だろう。
しかし、歯科医は患者様を不幸にしないことを治療の大原則にしなければならない。

平川さんこうなってしまったようだし。

 

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 13:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月05日

夢はつかむものではなく、追い続けるもの。

 
杉村太蔵衆議院議員がバッシングにあっていますね。
大変大人気ないと思っていました。

しかし昨日、筑紫哲也さんが「多事争論」の中で、

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ある新人議員が不用意な発言をしたためにバッシングにあっています。
最初にそのような報道をしたのは私たちでありますので、責任を感じていますし、大変残念なことだと思います。

彼に議員の資格がないとしたら、比例区で彼を候補にした自民党の責任はどうなるのでしょうか?

「いちど料亭に行ってみたかった。」という発言が問題になりましたが、夜な夜な料亭で密談を交わしている議員たちはそれでいいのでしょうか?

それよりも、今回の総選挙で自民党を圧倒的に支持したのは私たち国民です。
私たちの責任はどうなるのでしょうか?

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誠に的を得た大人の発言だと思います。

ニュースに太蔵議員が出ると笑ってしまう私なのですが、それは決して嘲笑ではありません。
自分の26歳のときのことを思い出してしまいます。
私はもっと程度が悪かったと確信を持って言えます。
もちろん一歯科医と国会議員では重みが全然違いますが、皆さん自分の若いときのことをすっかり忘れてしまっているように思います。

私はこんな議員がいてもいいと思います。
国会議員になりたいという熱意があり、バカがつくほど純粋ですし。
ただ本当のバカでは困りますが、せめて任期の間は大きな気持ちで見守ってあげられないものでしょうか?

人は育つものです。
彼にその素質がないのなら、次の選挙で落選するだけのことですから、2500万円が惜しいというなら、こんなくだらない騒動に巻き込むより、激励しながら見守ってあげることが大事です。
そうして、国のために2500万円分しっかり働いてもらいましょう。

このようにみんな未熟です。
だから努力する余地があるわけです。

このブログも「よかった」「うまくいった」「よろこんでもらった」のようないいことばかりでは信憑性がありませんから、先週ある患者様からいただいたメールの一部をご紹介します。

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Tです。先日は、ありがとうございました。

やっと、出会えたすばらしい先生、そして理想的な治療の環境・・・・と、大喜びで、帰りに受付におりましたところ、、「Tさん、お忙しいとは思うのですが・・・

で、何回もお話しておりますが、それは無理だとお答えいたしますと、

中略

先生の迅速かつ親切で明瞭な応対に対しましては本当に大きな期待があり、大変悩みましたが、スタッフすべてで、ひとつのチームですし、今回は、治療を見合わせたいと思います。予約の取り消しをお願い申し上げます。

後略

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この中略の部分には非常に厳しい厳しいお言葉があり、関係者一同かなり凹みました。

Tさんは海外と日本を頻繁に行き来しておらる非常に多忙な方で、また通常と違った事情をお持ちであったことも要因ではあるのです。
しかし、最大の原因は、私たちがこのTさんが一番重要視していることについて、心のそこから配慮できずに、こちらの一方的な事務手続き上の都合を押し付けてしまったことが最大の原因です。
このTさんの一番重要なことは「時間」でした。

反対に言うとその「時間」の為なら、その他のものは全て犠牲にしても何も問題でないほど重要だったのです。
私たちにはそれが理解できませんでした。

もちろん決して間違えたことをしたわけではなく、通常はそれで問題はありません。
そして、これはスタッフの責任ではなく、そういうシステムで運営していた私の責任です。

私の返信です。

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それは大変ご不快な思いをさせてしまい申し訳ありません。
残念な結果になってしまいお詫びの言葉もございません。

いただきましたこのメールは明日スタッフ全員に見せ、当院の厳しい反省点とさせていただきます。
この結果はひとえに院長の私の不徳のいたすところでございます。
本当に申し訳ありませんでした。

ただ心配いたしますのは、Tさまのお口の状態です。
できますなら、やはりどちらかで治療をお受けになり、良い状態を取り戻されることを祈念いたします。

最後にもう一度、ご事情を理解できず、紋切り型の対応でT様にご不快な思いをさせてしまったことを深くお詫びいたします。
本当に申し訳ありませんでした。
誠に残念であり、自分を悔しく思っております。

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現在、このとおりに進めています。
翌日の朝、全員にこのメールをプリントアウトして見せ、問題点を全て列挙し、改善策を指示しました。

しかしここで大事なのは、表面の「方法」ではなく、根本的な「意識」の改革だと思います。
私がこの病院を作ったときはホテルをイメージして作りました。

もちろんスタッフにも、一流ホテルのホテルマンのような接遇ができるようになって欲しいと
思っていましたが、「言うは易し行うは難し」です。
なかなか医療人としての常識を拭い去ることができません。

今回は残念な結果になってしまいましたが、ここがチャンスだと思っています。
そこで、

現在KAIZENを行うに当たって、2週間に1回ミーティングを1時間しています。
今週のミーティングには、


「リッツ・カールトンで学んだ仕事でいちばん大事なこと」

これを5冊買ってきて用意をしました。
4人のスタッフに一冊ずつ渡し、次回のミーティングまでに読んでおくことを指示しました。
しかし、うわべだけをまねしようということではありません。

リッツではお客様に「ノー」は言いません。
それはかなり難しいことです。
サービス精神とは別に、どういうテクニックが必要とされるでしょう?(反対に言うと、どうしたらノーと言わずに済むのかということ)

リッツでは24時間きちんとしたルームサービスがあります。
リッツはそれを「お客様のため」と説明しますが、普通のホテルでは人件費などの問題でそれはできません。
ではなぜそれがリッツではできるのでしょう?

そのあたりの裏側の説明も少ししてからの課題にしました。

とにかく一度180度視点を変えて、「すべては患者様のために」を実現してみたいのです。
言い換えれば、24時間充実したルームサービスがあり、一人一人の方のパーソナリティーから、プライベートまで全員が熟知している・・・
それを目指したいのです。
そのためには何をしなければいけないのか?

「とにかくあなたの目の前にいる患者様が、何を一番重要視しているのか?
 まずそれを見極めなさい。
 時間なのか?お金なのか?美しさなのか?優しさなのか?
 全てはそこから始まります。
 それを間違えると今回のようなことが繰り返されます。」

Tさんには不愉快な思いをさせてしまって大変申し訳なかったと思います。
100%の非は私たちにありますが、傷つきました。
もうこのような思いはしたくないと思っています。
ですので、ここまではっきり言っていただき、このようなチャンスを与えてくださったことには大変感謝しています。

数年まえに、私の病院に関するアンケートをとったことがあります。
診療室の雰囲気、スタッフの応対、治療内容など。
95%の方は、「よかった」しか書いていただけません。
それが欲しくて手間のかかるアンケートなどはしません。

ただある患者様は問題点をはっきり用紙に書いていただけました。
この患者様は謎の富豪です。
紳士的ですが、治療に対する要求も大変大きかったのを覚えています。

もちろん現在は、3ヶ月に一回のメインテナンスになっていますが、こちらから案内の御はがきをださずとも、きちんとご自分で予約のお電話をいただけます。
アンケートに記入いただいた内容がもう一歩具体的に理解できなかったので、次回のメインテナンスのときに、お聞きしたところ、

「〜いうこと。先生。こうしないとダメですよ。」

とまたきちんと教えていただけました。
このような方は皆様そうです。
ニッコリ笑いながら、厳しく教えていただけます。

そのときこの方に指摘されたことは今回の原因に共通するものでした。
つまり、進歩していなかったということですね。
それが「自分が悔しい」理由です。




「明日という日は決して来ません。」

と書くとびっくりします?

明日が来たとき・・・それはもう今日になっています。
明日はまた明日になっているわけですから、また明日のことを考えて走り続けなければなりません。

夢を手にしたとき、それはもはや現実です。
それも思い浮かべていた夢とは違って、結構辛いものだったりします。

だから努力するというその行為自体に一番大きな価値があるのでしょう。

太蔵君もくじけずがんばれ!
あなたには努力できる時間が充分にあるんだから。

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 11:48| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年10月02日

生きる哲学 老子 [ 壱 ]

私の診療哲学はパンキーフィロソフィーである。

では哲学とは何か?

哲学は全ての学問の基礎となるものである。
つまり、何のためにその学問をするのか?
それを追求するのが哲学である。

物理学が哲学を失い原子爆弾が生まれた。
生命科学が哲学を失うとクローン人間が生まれる。

生命が生きること、これは壮大な科学である。
私の生きる科学の根源になる哲学は「老子」である。

忙しく心を失いそうな時、天狗になりそうな時、心のあり方に悩む時、折に触れ「老子」を読み、心を落ち着かせる。

古来の中国は偉大な人物を傑出してきた。

兵法で有名な孫氏をご存知だろう。
いわゆる「孫氏の兵法」である。

孫氏は二千五百年ほど前の人。
兵法というと、いかに戦いに勝つか?そのテクニックに重きが置かれるが、孫氏の兵法の中核をなすのは、

戦わずして勝つ。
勝算なきは戦わず。

の二点であることはあまり知られていない。

老子も同時代の人である。
しかしほとんど記録は残っておらず、出生地、本名すら不明な人物である。

かなり老けた外観であったので、「爺さん」の意味の「老」に「先生」の意味の「子」がつき「老子」と呼ばれる。

エピソードはまたいずれ書く機会はあろうかと思うので、今日は老子が残した「道徳経」の「道の巻」のあまりに有名な冒頭の言葉について。


道の道とすべきは、常の道に非ず。
名の名とすべきは、常の名に非ず。
名無きは天地の始め、名有るは万物の母。

故に常無以って其の妙を観んと欲し、常有以て其の徼を観んと欲す。
此の両者は、同じきに出でて而も名を異にす。
同じきをこれを玄と謂い、玄の又た玄は衆妙の門なり。


以下は私の勝手な解釈である。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

全ての道(真理)は、決まった何かのものではない。
いったい真理は誰が決めるのか?
正しいと思われえる真理でさえもそれは移り変わるものなので、「真理」とも言い切れるものではない。

無が世界の始まりであるが、それは無という観念に単に無と言う名を与えているにすぎない。
それは無という、本来は名づけることさえ、考えることさえできないものだ。

これが世界の始まりである。

そして世界ができてからいろいろなものに名前が付けられた。

本当は理解できない無を理解したように思うと、其の妙(本質)を見極めようとするし、名前の付けられる現実ばかりに目が行くと、其の徼(キョウ 結果)にしか目が行かない。

だから、本当の道を知るためには、無為自然を旨とし、へりくだって優しく、小ざかしさを捨て、欲を捨てなければ為らない。

なぜならば、名(現実、物質、人間の言葉)があれば、そこに欲が生じるから。

無も名(有)も、此の二つは同じ源から出てくる。
名がつくこととつかぬことの違いしかないわけだからこれは当たり前のことだ。

だから無を完全に理解することはできない。

この同じ源を「玄」と言う。

この「玄」が宇宙の根源である。
玄は全ての観念を超え、闇にも似て、暗く果てのない彼方、その彼方にまで広がる。

この神秘の海をかき分けて進むと、人はその命の入り口に近づくことができる。

・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

突然何を言うのかと思いました?

今週末は多忙だっだし、「医」の本質について考えさせれる出来事もあり、もう一度自分の基本に戻ってみようと思った。
わかるようなわからない話だが、これが「爺さん」の思想の根本である。

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 21:14| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月30日

KAIZEN #5 #6

KAIZENは続く

[ 改善#5 ]


私の診療所の南に大きなマンションが建ったため、日光が入りにくくなった。
そのため、院内が暗く感じだした。

光の種類を変えて、全ての蛍光灯を総変えした。
文字通り、院内が明るくなった。

[ 改善#6 ]


ブルーチケットにブラウンチケット。

さて何に使うのか?

私はあまり誉めたりしないタイプであるので、スタッフたちが何か良いことをしたとき、頑張ったとき、よいアイデアを提案したとき・・・
そんな小さなことをそのつど評価できるシステムを作ろうと思っていた。
で、
これである。

何か評価できることがあればチケットに日付とその理由を書き、ハンコを押して渡す。
ブルーチケットが3枚貯まれば、ブラウンチケット1枚になる。
ブラウンチケット3枚で3000円の報奨金と引き換えることができる。

小さなことでは、ブルーチケット1枚だが、
それでは少し足らないと思うようなときはブルーチケットを2枚渡す。

いきなりブラウンチケット1枚ということもある。

始めるにあたって、

「あくまでもこれは相対評価です。
 新人でも頑張ればもらえます。

 でも相対評価なので、ベテランが新人がチケットをもらったと同じ理由ではもらえません。
 あくまでもマルオカの一存で決めます。
 
 文句言ったら全て没収じゃ!」

と言い渡してある。

新人の頑張りや、奥のカルテ棚にロールスクリーンつけようという提案、
「インプラントの機材が増えすぎたのでそれを整理します。」の申し出にブルーチケット1枚。
この手術の見事なアシスタントワークにより、主任衛生士は功労としてブラウンチケット1枚をゲット。

「これやったらブラウンチケット1枚もらえますか?」
なんていう質問もあったりする。

結構張り合いになっているようだ。

  
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:49| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月05日

KAIZEN #3#4

KAIZENは続く

[改善#3]



これは以前から決まっていたのだが、ユニフォームを新調。
ミントカラーで清々しい。

またいらっしゃったときに「ユニフォーム変わったね。」と言っていただけると喜びます。

[改善#4]

患者様と顔を合わせたときには当然「おはようございます。」「こんにちは。」を言う。
しかし「フェイス トゥー フェイス」を徹底するために、必ず「田中さん おはようございます。」「小泉さん こんにちは。」とお名前を呼ぶこととした。

しかし、これは簡単なようで難しい。
つい忘れてしまうし、間違えたりもする。
でも「習慣付け」だから、気長に。



[ 今日の気になること ]

アメリカのハリケーン、大変だが、しかしあの政府の対応はあまりにひどい。
アメリカにはFEMAと言われる連邦危機管理庁があり、このような大災害の場合は大統領直属で、軍や警察より上位に位置するといわれる。
だから通常は、



FEMAは全米10箇所に地域オペレーションセンターを展開しているが、ハリケーンのように連邦政府の介入が必要な大規模災害が発生した場合は、災害地にフィールドオフィスを立ち上げて対応する。フィールドオフィスには各省庁の責任者が集結し、24時間体制で必要な調整を行なう。例えば被災地への食料提供に関しては、民間組織である赤十字が「集団救護」を担当し、避難施設の数・避難住民の数・施設での食糧提供状況などを把握・報告する。これらの情報が、各地の被害状況とともに、FEMAや「食糧提供」を担当する農務省との間で共有され、農務省において備蓄食糧利用の手続きがとられる 。運輸省はその食糧を輸送するための「交通・輸送」を担当し、物資輸送ルートを確保することになる。



ということになるのだが、いくら想定外の事態が重なったとはいえ、何日間もほとんど機能していなかったことを考えるとねー。

これはヒドイ勘ぐりかも知れないが、あの低所得層の人たちを故意に見殺しにしているように思えなくもない。

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 11:57| Comment(1) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年09月02日

KAIZEN #1#2

なぜか私の病院は7月ぐらいから10月ぐらいまでが比較的暇である。
今年は8月中ごろまで忙しかった。

毎日の仕事に追いまくられていると周りが見えなくなるし、小さなことを見落としてしまう。
だから、こういう時期も必要だと思っている。

だが漫然とは過ごさないのである。
こういうときにこそできることがあるのだ。
それは、
 
 改善

様々な業種を参考にして、よりよい方向に「改善」していく。
トヨタ方式とも呼ばれるが、これも参考にする。

[改善#1]

今回最初に始めたのがこれ。
待合室にはもちろん雑誌をおいてある。
しかし、診療用チェアーに座っての待ち時間というのもある。
そこで、ここに雑誌を置いてみた。

私の診療室のシステムは特注で、世界にただ一つしかないもの。
だからこういう置き場がある。

すると患者様はかなりまめにこの雑誌を手に取って読んでおられる。
私たちにとって意外なほど。



そうした「ありたい姿」の追求を可能としているのが「『ダメモト』でチャレンジし続ける『変化持続型』の活動」(金田氏)である。
すなわち,トヨタでは今日の業績向上のための活動を従来の問題解決型ではなく「ありたい姿」に向かってチャレンジするイノベーション活動として行うことで,「明日の準備」を日常の業務を通じて実行できるようにしている。



これは、私が散髪をしているときにいつも「ヒマやなー」と思うところから始まった改善。
とりあえずやってみたらよい結果が出た第一号。
この雑誌を交換し置く担当も決めてある。

[改善#2]

次に始めたのが情報の共有。
今まで診療前にはその日一日の打ち合わせはしていた。
しかし、担当制であるので、自分の受け持ち以外の患者様の情報がなかなかスタッフに入ってこない。
そこで、


その日一日の打ち合わせをする前に、昨日治療した患者様のカルテを持ってきて、一人一人の患者様のプロフィールや治療内容やこれからの予定などを全て説明していくことにした。
そうすれば次の予約のとき誰が顔を合わせても、

「○○さん。痛みはどうでした?大丈夫でしたか?」

と声をかけることができるわけである。

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:34| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年08月11日

医療技術専門学校 技工士科の生徒の皆さんへ <2>

かなり以前に書いた<1>から大分間が空いてしまいましたが、今日はすこしゆったりとしていますので、続きのエントリーです。

昨日のこのエントリーに関連したことになるのですが、まず、よい技工士になるために必要なことは何でしょうか?
私が必要だと思うことをあげてみます。

1.心
2.科学的思考
3.技術
4.コミュニケーションの能力
5.常識

今日は、「心」について。

私の師の川村泰雄先生の技工室にはこのような言葉を書いた色紙が飾ってあります。
うろ覚えでかなり不正確ですが、

「あなたがたの目の前にあるのは、ただの石膏模型ではない。
血が通った患者様そのものである。」

このような内容だったと思います。

もちろんまだ皆さんは、実地のいわゆる臨床ケースの技工はまだあまりしていないのではないかと思います。
それとももう経験されているのでしょうか?

もしそうなった場合、あなたはその模型の患者様の顔を想像できますか?
どんな思いで、自分のブリッジや義歯ができるのを待っているかわかりますか?





これは今私自身が作っている途中の仮義歯です。
それは、このケースの方の義歯です。

お盆が済んだら、抜歯とインプラントの撤去をしますので、その場でこの仮義歯が必要になります。
技工所に出そうかとも思ったのですが、咬合平面の乱れもあり「このように」といってもなかなか私の指示が理解してもらえるとは思えず、自分で作ることにしました。

この方は次回の予約時はドキドキもので来られます。
前歯が5本一気に無くなり、「入れ歯」になるわけですから当然ですね。
おまけに女性です。

そのときに入る義歯がオカシナものだったら、患者様のショックはいかほどでしょう?
ですので、この仮義歯は私自身で患者様の顔を思い浮かべながら作っています。

今、義歯の技工にライトが当たっていません。
歯科医も技工士も義歯を軽く見ています。
インプラントが一般的になる前の最先端の歯科治療は、コーヌスやテレスコープ義歯、アタッチメント義歯、リーゲルなどでした。

しかしインプラントに歯科治療がシフトしていくにしたがって、学術発表などもこのような義歯関係のものは極端に減ってきました。
しかし、歯科治療において義歯がなくなることはまだまだ考えられません。
良質な義歯を供給する必要はあるのです。

クラウンブリッジ、インプラント関係の技工に関しては、どちらかというとマニュアル的な正確さと美的センスが問われます。
しかし義歯の技工はそれだけではダメです。

あなたの設定する床縁が1mm長すぎただけで、患者様は痛みや気持ち悪さをずっとガマンしなければなりません。
あなたが「どうせ義歯だから」と適当な人工歯の配列をすれば、患者様は人に合うたびに「出っ歯になったのと違う?」と言われ、食事のたびに噛み切れず、食べ物を吐き出すことになってしまいます。

もしこれがあなただったら?
皆さんはまだ20歳ぐらいですので、まだこんな状況は理解できないかもしれません。
ではこれがあなたのお祖父さんやお祖母さんだったら?
あなたがお祖父さん、お祖母さんの義歯を作って、

「オイ○○。お前の作った入れ歯具合がわるうて咬めへんわ。」
「○○ちゃん。合う人合う人に口元おかしいって言われる。」

こう言われたら?

義歯の技工は「心」、特に「思いやり」の心が必要とされるものです。
これはまさしく、石膏模型の裏に人間の顔を見ながら行うべきものです。
この「心」を忘れず、「総義歯」の技工に精通してください。
やはりこれが技工の基本です。
 
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2005年08月06日

第二世代の良医

ある尊敬する方のご友人Hさんのブログの8月5日のエントリーから。
Hさんは何冊か著書もある方。
今日はリンクはあえてしていない。



昨日は、ついに痛みに耐え切れず
馴染みのK歯科へ飛び込む。
折り悪く夏休みであったが、特別に見てもらった。
やさしい、赤ひげ先生である。

もともと、K歯科は千駄ヶ谷にあったのだが、
北大出身の先生にはちゃらちゃらしたファッションタウンがどうも、
味覚に合わなかったらしく
医院を閉じてしまった。
今は墨東、向島百花園の近くに門を構えている。
歯医者復活である。
正直一筋、説明懇切、常に患者の身になって
診てくれる。
金がない人からは、金をとらないなんてこともあったそうである。

歯医者の椅子に座って、
本日の施術の説明をうける。
一時間半の長治療であった。
まず、痛む歯の神経を殺す。
歯が浮き上がってぐらついているので、
両隣の歯を繋ぐ金具を埋め込み
歯茎側の腐った部分を掻破する。
いや、これは痛そうな拷問である。
しかし、加藤先生の手になると痛みがないのである。
これまで、随分いろいろな歯医者に行ったが、
K先生と比肩できるところはなかった。




私は歯科医をこのように分類している。

第一世代 : 入れ歯師 柘植の木なんかを削って総入れ歯を作っていた時代

第二世代 : 痛くなったら削る、抜く、被せる、入れ歯を作るといった、今の普通の「ハイシャサン」

第三世代 : お口全体を一つに単位として考え、総合的にバランスの取れた治療を行う。病気を中心とするのではなく、原因を第一として考え、治療より予防に重点を置く。

第四世代 : 削る、抜くをできるだけ避け、インプラント治療や失われた組織の再生療法をおこなう。

このK先生は第二世代のいわゆるいい先生だと思われるが、現在の考え方と比較してみる。
もちろん、このK先生の治療を否定するわけでは全くなく、あくまでも理論的に「違い」を考察してみる。


1.「ついに痛みに耐え切れず馴染みのK歯科へ飛び込む。」

馴染みであるのなら、このような状態になる歯を放置しておくべきではないと思う。
初診時にお口全体の状態を詳しく検査し、治療をしておくべきだろう。
もし治療をしない場合でも、Hさんにはこのような状態であること、放置すればどのようになるのかを告知しておく必要がある。


2.「金がない人からは、金をとらないなんてこともあったそうである。」

これは立派な行為であると思う。
しかし、「よい治療を受けたいのか?」「安い治療を受けたいのか?」このあたりはお互いにしっかり認識しておく必要があるのだと思う。
もちろん「安くてよい治療」が一番なのだが、最近の第四世代の歯科治療を行おうとすると、費用はかかる。

ここで、いわゆる「赤ひげ先生」について述べておく。
これは山本周五郎原作の「赤ひげ」に出てくる江戸時代の架空の医師新出去定のことである。
彼は小石川療養所で貧民たちの医療に力を尽くした医師として、良医の代名詞となっているが、小石川療養所は徳川幕府が貧民たちの救済施設として作ったもの。
時間を惜しまず、貧しい患者からは治療費を取らずといったことがその行為であるが、ここで小石川療養所は国立病院であったということ。
つまり、新出先生の懐は痛まないということも考えておく必要がある。

「折り悪く夏休みであったが、特別に見てもらった。
やさしい、赤ひげ先生である。」
もちろんこれは医師として絶対必要条件である。


3.「まず、痛む歯の神経を殺す。歯が浮き上がってぐらついているので、両隣の歯を繋ぐ金具を埋め込み歯茎側の腐った部分を掻破する。

この状況から推測するには、この歯は末期の歯周病である。
歯周病は歯を支えている骨が溶けていく病気





「歯の神経を殺す」となっているので、この骨の吸収が歯の根の先まで進み、根の先から歯の内部にはいっていく神経がそこで侵され、痛みが出ているわけだ。



つまり、末期の歯周病。
抜歯が相当である。

「ぐらついているから隣の歯と連結する」という治療は適切ではない。
今、急性炎症があるため、咬みにくいので応急処置のために連結をするのならよいのだが。
15年ほど前までは、このような「連結」という治療が盛んに行われていた。
しかし、動いている歯と動いていない歯を連結すると確実に『動いていない歯』が悪くなってしまう。
同じような動き方をする歯を何本か連結する方法は現在でも有効であるが、それもあくまでも歯周病自体がコントロールされている場合のみである。

この歯の予後をK先生がどのように説明されたかはっきりとしないのだが、割愛したエントリーの部分から推測するに「抜歯」とは言っておられないようだ。

ここが大きな問題だと思う。
繰り返すが「歯周病で神経がやられる」というのは重度の歯周病で、望みはない。

「歯が浮き上がっているので」

つまり、この歯の周囲はこのような状態のはず。
この汚染された歯の根を自分の体の中に入れておきたくないので、体が自分で押し出しているわけ。
つまり、このような状態が続けば周囲の骨がどんどん溶けていくということ。

そして、連結をした歯の支えの骨まで吸収が進めば、今1本の抜歯で済むものが近い将来3本の抜歯となってしまう。
日本人の抜歯の基準は非常にあいまいである。
世界のスタンダードはこれである。

また、急性炎症期における治療の基本は、できるだけ外科的処置(血が出る処置)は避けるということ。
「歯周病は細菌が出す毒素で骨が溶ける病気」と説明をするのだが、実際はそうではなく、細菌が出す毒素で炎症がおこり、その炎症を起こす物質(起炎物質)に刺激されたマクロファージなどよばれる自分の体の中の特殊な細胞が、骨を壊していくのだ。

つまり、このような炎症期に外科処置をすると、その刺激もこのマクロファージを刺激する大きな原因となり、「ソッ」としておくよりも吸収は進行していく。
つまり、この時点で「歯茎側の腐った部分を掻破する。」という治療はすべきではない。

4.「いや、これは痛そうな拷問である。しかし、加藤先生の手になると痛みがないのである。これまで、随分いろいろな歯医者に行ったが、K先生と比肩できるところはなかった。」

もちろん状況により差はあるし体質にもよるが、この程度の治療であれば麻酔下で無痛で治療を行うことはなにも難しいことではないと思うのだが?


では私ならどうするか?
(レントゲン等を見ていないので、推測であり、Hさんを初診の患者様と仮定します。)

1.レントゲンを撮り(抜歯が相当と判定したら)

2.神経を取り、一時的に横の歯と固定

3.歯と歯ぐきの間の溝を消毒

4.抗生物質を投与

5.「1本がこのような状況になっている場合は、他の歯も似たような状況になっている場合がほとんどです。一度詳しい検査をしてみましょう。」

6.検査

7.歯周病の原因とプラークコントロールの説明

8.抜歯 仮のブリッジのセット

9.歯石を取るなどの徹底的な歯周病の治療

10-a.最終ブリッジのセット
10-b. 可能なら抜歯後9ヶ月待ってインプラントの手術

11.メインテナンス

となるだろう。

「ついに」に続く

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 11:24| Comment(3) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年07月01日

臨床歯周病学会<5>

臨床歯周病学会<4>の続き

このブログは専門家の方も見ていただいておりますので、せっかくの機会と思い今週はこの話題のみにしてみました。
退屈だったでしょうか?

歯科治療に限定した話のようですが、エントリーしたトピックスは結構、他の仕事や、人生においても重要なことだと思うのです。
このシリーズは本日で終了しますが、今日の話題は「師」について。


熊本の中村社綱先生。

今から16年ほど前の開業直後、外科の修行のためにあちこちの講習会に行っていた。
それを知っているインプラントの輸入会社の営業の方が、
「先生この講習いいですよ。行かれませんか?」
「歯周外科?講師は中村・・・ウーンこれなんて読むんです?」
「たかつな」
「知りませんねー。」
「熊本の先生なんですが、腕はピカイチですし、お話も素晴らしいと思います。」
「そこまで言われるのであれば。」

もともと口腔外科出身の中村先生なので、もちろん外科の腕は素晴らしく、またいわゆる外科バカではなく、全ての歯科治療のすみずみまでの詳しい知識をもっておられた。

いまでも鮮明に覚えているのが、
「皆さん。本を読む習慣をつけなさい。
 専門書でも小説でもかまいません。
 私はどんなに疲れていても、酔っていても必ず30分本を読んで寝ます。」
と言われたこと。
私も本を読む量はそう負けないが、やはりこの『どんなに疲れていても、酔っていても必ず30分』はできない。

6日間の少人数での実習だったので、先生の気迫をひしひしと感じていた
これは只者ではない!


そして中村先生に、豚の顎を使って、歯ぐきを切ったり、開いたり、二枚におろして縫い合わせたりの指導を受けた。
そのときに中村先生が使われていた器具がどうしても欲しく、そのことを言うと、先生自身がそれを買って、わざわざ熊本から送っていただいた。
それがこれ。いまでも大事に使っている。

それから、中村先生の講演会にはできるだけ出席してきたが、どんどんと有名になられ、今や世界的なインプラント医、口腔外科医、歯周外科医、補綴医である。

そこで、
今回の学会で中村先生がセッションの座長を務められ、ある症例についてリンデ教授とネヴィンス先生にコメントを求めた。
それは埋伏歯といわれる、完全に顎の骨の中に埋もれている歯を抜いた後の処置をどうするか?についてだった。

リンデ教授は、
「中村先生。あなたのすばらしい外科の技術は賞賛に値します。
 このとおりシャッポを脱ぎます。
(ここで大きく帽子を脱ぐジェスチャーをされた)
ですので、この件に関しては私はあなた以上のコメントはできません。」
といわれた。

私は大変誇らしかった。
スタッフにも、
「どーや。ワシあの先生に歯周外科習ったんやぞ。」
と自分が偉いわけでも誉められたわけでもないのに自慢してしまう。

仕事においても、人生においても「師」は必要である。
歯科における私の「師」はもちろん一人ではない。
また直接教えを受けたことはなく「本」の上だけの「師」もいる。
パンキー先生、川村泰雄先生、保母須弥也先生・・・歯科医人生を変えていただいた人たち。
でも中村社綱先生のスマートさは一番かっこいい。

世界のトップに「あなた以上のコメントはできない」と言わせるんですから。
私は決して外国かぶれしているのではなく、本質を見極めたいのです。
この中村社綱先生の講習会なら、決して失望をしないことを保証しておきます。
日本にも素晴らしい歯科医はいます。


このときは4人そろっているが、やはり2日目の午前中の早い時間は、誰か行方不明になっていた様子。


翌日の月曜日。
やはりしんどい。
Miyoは発熱のため午後より早退。火曜日も熱が下がらずお休み。
これを知恵熱という。
posted by maruoka-yoshimitsu at 13:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月30日

臨床歯周病学会<4>

臨床歯周病学会<3>の続き


さて、もう一度リンデ教授にご登壇いただく。


これが、2日目のリンデ教授の講演に先立って、日本側から提示された症例。
2本の前歯を抜歯しなければならない。
さてこれをどう治療するのか?
ブリッジにするのか?インプラントにするのか?

ここで、なぜ歯周病学会でインプラントの話が出てくるのか?ということになるが、歯周病専門医は歯周外科(歯の周りの骨と歯ぐきの手術)の専門医である。
大掛かりな手術は別にして、歯周病専門医=インプラントのスペシャリストが世界の常識。


通常歯を抜けば、骨に穴が開く。
そこにはインプラントを植えることはできない。
9ヶ月〜12ヶ月待つと、その穴に骨ができてふさがっていく。
その時点で、骨にドリルで穴を開けインプラントを植える・・・これが今までのやり方。

これも患者様のニーズなんだろうか?歯科医のエゴなのだろうか?
最近は即時埋入型インプラントというものが販売されている。

つまり、歯を抜いた後、抜いた歯の根の径より少し太いインプラントをその場で入れてしまうというやり方。
利点はもちろん治療期間の短縮と、手術時に歯ぐきをめくらなくてもいいということ。


リンデ教授はここで、歯を抜いたあとの骨が変化する様子を経時的に比較した標本を出された。
歯がなくなると、どの部位であっても多かれ少なかれ骨は吸収する(やせる)。
舌の側と唇側の骨の2ヶ所を比較すると、唇側の骨の吸収が大きい。


そのデータ。
上が抜歯して4ヶ月後の唇側の骨の吸収量1.9mm、下が舌側の骨の吸収量0.8mm
もちろんその理由も、解剖学的、生理学的に考察された。


つまり抜歯してすぐにインプラントを入れると、そのときはいいが時間が経つにつれ、特に○の唇側の部分の骨の吸収は大きく、いずれインプラントがダメになる可能性が高いということ。

以前にこんなことがあった。
この患者様は、歯が折れた時は京都でインプラントで名前を売っている(自分で売っておられるだけで、良い話はまだ聞いたことが無い)歯科医院に行かれた。
そこで、抜歯をすると院長から、「すぐにインプラントをしないといけない。するのかどうか返事をすぐにしなさい。手術するなら来週。」と詰め寄られたらしい。

そこで私の病院のホームページをご覧になって来られた。
どうしてもインプラントとをしたいとこだわっているわけではないが、インプラントをするにしても私の病院でしたいとのことだった。

「先生。どう思います?」
「うーん。非常に特殊な方法と機材を使えば、不可能ではないんですが。
 とりあえずレントゲンを撮ります。」
・・・・・
「これは、今すぐにインプラントができる骨の状態ではないですね。」
「そうでしょう?私もそう思います。あの先生おかしいわ。」
多少条件は違うし、内容のずれもあるが、まあ素人さんでも感覚的に分かる話。

そこでリンデ教授は結論づけた。
「この即時埋入型インプラントの治療成績に関しては私は懐疑的です。
色々なタイプのインプラントが販売されていますが、私は使用しないでしょう。」


そこでこれ。抜いた後どうするか?


専門的な理由は割愛するが、このお二人ともが口をそろえて、
「このケースはインプラントで治療するケースではありません。
(即時埋入型インプラントでするということではなく、通常のインプラントでも)
 ブリッジで治療しないとうまくいきません。」
とおっしゃられた。

・・・ということ。


明日は8時から始まるけど、何人がこられるかな?
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2005年06月29日

臨床歯周病学会<3>

臨床歯周病学会<2>の続き


さて演壇のネヴィンス先生である。
リンデ先生は大学教授。つまりサラリーマン。
ネヴィンス先生は、元アメリカ歯周病学会会長、歯周病専門誌の編集長でもあるが、根本的に違うのは、ネヴィンス先生は「開業医」つまり経営者である。
この立場の違う、しかし世界のトップレベルの歯科医が同じテーマで講演をするという今回の学会は大変な価値があった。

また今回は事前に日本側の座長から実際の症例を提示し、それに対する治療方針や治療内容に関するコメントを両先生にいただくというかなり実践的な学会でもある。


さてこれが日本側から提示された実際の症例。
一般の方には少し分かりにくいかも知れないが、○の部分(下顎の前歯)が問題。
犬歯から反対側の犬歯までを前歯というが、犬歯間には4本の前歯がある。
このレントゲンではそのうち1本はもう失われている。
さあ、ここをどうするのか?

ネヴィンス先生の答え
「もうこの3本は抜歯をします。
 そして、2本のインプラントを入れて、4本のブリッジにするか、もしくはインプラントを せずに、2本の犬歯を土台にしてブリッジ(6本の歯)にします。」

専門的にはなるが、問題の3本の前歯のうち、1本に関しては日本人歯科医のそうですね50%ぐらいは「抜歯」というかも知れない、しかしまさかあと2本も抜歯という判断は、日本人歯科医はまずしない。

ネヴィンス先生はアメリカのトップクラスの歯周病専門医である。
そういうと、もうほかの歯科医では治せないグラグラの歯も治せるように感じるかも知れないが、決してそうではない。


つまりはこういうこと
常に戦略を考えているわけである。
なんとなく「歯は抜かないほうがいいし・・・」というようなあいまいな理由でプランニングはしないのだ。

もちろん最終的な決定は患者様自身がするわけだが、
例えばこの女優もセット代をケチらずに、素晴らしいヘアースタイルでパーティーに行けばどこかのプロデューサーの目にとまり、大役に抜擢されたかも知れない。

ここで抜歯をしなければ、「歯を残したい」という希望は満足させられるかもしれない。
しかし、ことあるごとにトラブルを起こす歯を抱えて10年生活をすることと、見た目も問題なくしっかりと長持ちをするブリッジで治療し、心配事をなくしておくこと・・・
どちらが幸せだろうか?

このような考え方の違いもさて出席者のどれぐらいの方が理解しただろう?


「なー。アメリカの専門医はあれ抜歯っていうやろ。」
「ほんとですねー」

昼食時にこんな会話になった。
プランニングが終わったあと、担当衛生士には、なぜこのような治療計画になるのかを説明をする。
そのたびにこのような話をするので、私のスタッフは再認識したようだ。

でも、いっぱい食べると眠いよ。
posted by maruoka-yoshimitsu at 12:47| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月28日

臨床歯周病学会<2>

臨床歯周病学会<1>の続き


Dr.Nevins(元アメリカ歯周病学会会長)、Prof.Lindheのネームバリューはやはりすごい。
大阪国際会議場の大ホール1階席はほぼ満席。
衛生士の姿が多く、それは大変良いことなのだが、このお二人の真意をさて何人が理解しただろう?(これは歯科医師にも当てはまる)

つまりこういうこと・・・


これはGTR法という歯周病に対する手術である。
ある条件がそろった状態でこの手術をすると、溶けてしまった歯を支える骨が再生する。
これは下顎の奥歯の手術。
骨を作りたい部分を特殊な膜(ゴアテックスなど)でカバーして待つ。
再び歯ぐきを開くと、骨が新生しているのがわかる。


これがリンデ先生のデータ。
上顎の奥歯に対するこの手術の成績である。
Testとは歯ぐきを開き、膜を入れたことを示し、Controlとはその同じ患者の反対側の歯の歯ぐきを開き、歯の周囲の清掃のみをしたことを示す。
分母が治療総数。分子が骨が再生した数。

まずリンデ先生は上顎の奥歯にこのGTR法で手術をして、成功した治療例を出された。
次に失敗し、骨が再生しなかった例を出された。
そして、このデータ。
「つまり、この部位にはGTRを行っても10%の成功率もありません。
 また、膜を入れても入れなくても結果は同じです。
 ですので、上顎大臼歯にはGTRをすべきではありません。」
この整然とした科学的思考と検証。

日本人歯科医が開催するこのようなGTRの講習会にいくと、成功例しか出されない。
1つの成功例の後ろにある9つの失敗例は隠される。
その成功例だけを見た受講者は、「私でもすぐにできる」と思い込む。
そして、機材を買い込み、未熟なテクニックと不完全な知識で手術をしてしまう。

患者様は実験台ではないのだ。


全く関係の無いところからの引用になるのだが、別個に独立したエントリーにするよりもここに入れておいたほうが理解していただきやすいと思う。
これは私が趣味のパイプを時々購入する甲子園の[ぱいぷ堂さんのブログ]から。

ここのご主人は海外のパイプ作家さんと直接取引をされている。
5月にシカゴでパイプショーがあり、そこに行かれて仕入れをし、親しい作家さんの家に滞在されていた。
パイプにはハンドメイドとマシーンメイドがあり、この作家さんたちはもちろん1本ずつ手作りをされている。
Ed、Teddyという名前が出てくるが、この方たちはパイプ界の大御所。
Teddy Knudsenの最近の一番高価なパイプは96万円だったが、それはすぐに売れた。(買ったのは私・・・・・ではない)
その人たちの考え方である。
今日はあえて解説はしない。
どう感じていただけるだろうか?



Edは
某作家のパイプを
「これは作家の目からみれば作るのは簡単すぎるし
パイプも(シェイプとしては)あまり出来は良くない。
でも腹が立つ事に、やたらと旨い」
と、そのパイプを結構頻繁に使っていた。
作家でありながらその本質を解っているところが素晴らしい。

TeddyとEdと話しているときに
とある作家のパイプについて
「このやり方は是か非か」
というような話になった事がある。
が、Teddyが、
「確かに作家の目からすればそうだが・・・
このパイプは面白い、だからいいんじゃないか」
と言った。

具体的な内容はぼかすが、
作家、というかこれはどんな分野に於ても言えると思うのだが、
作る側のエゴが強すぎると
往々にして消費者の側の立場からどう見えているかが
見えなくなってしまう場合があるが、それは避けなければならない。
トップクラスの作家が何故そこにいるのかを考えると、
恐らく常に全体が見える眼を持っているからではないかと思う。


解りにくければ、作家を歯科医に、消費者を患者に置き換えてみれば・・・
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月27日

臨床歯周病学会<1>

昨夜、短くても何かエントリーしとこうと思っていましたが体力的にムリでした。
今日は朝7時から仕事をせねばならん状態でもあったので、寝ました。
さて、


25日第一日目。
開始前の登録。


このときはまだ元気だったのだが・・・


左が尊敬するイエテボリ大学歯周病学教授 Dr.Jan Lindhe


講演が始まったが、


これなんである。
これが私の好きな理由。
まず基礎である。
この場合は解剖。
(一般向:歯にはある程度決まった形があり、専門家が見ると上下、左右のどの歯かがほとんど判別がつきます。このようなことを研究する分野を口腔解剖学といいます)


そして、テーマに関するあらゆる文献を当たられ、データを解析する。
その中から、ご自分の臨床との関連性を見つけ出していく。
もしくは実験。
リンデ教授の講演を聴いていると学生に戻った気分になれる。

それに引き換え、あまり能力のない日本人歯科医の発表は、
「こんなことやりました。
 こんな方法でやりました。
 こんな道具使いました。
 できました。
 以上。」
というような講演になる。

歯科医学である。科学でなければならない。
「虚数の情緒」の中で、吉田武さんはこう言われている。
「科学に専門はない。専門があるのは技術においてのみ。」

私は「はいしゃ」と呼ばれるのが嫌いである。「はいしゃ」は横丁のおっちゃんみたいな感じがする。
私は「歯科医師」と呼ばれたい。
科学者は科学的思考ができなければならないのだ。
それには専門知識は関係がない。(もちろん本当に無いのは困りますが)

*** 続く***
posted by maruoka-yoshimitsu at 13:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月23日

医療技術専門学校技工士科の生徒の皆さんへ<1>

医療技術専門学校 技工士科の生徒の皆さんへ

このブログを、先生が皆さんに紹介していただいたとのことですので、まだ見ていてくださる生徒さんもあるかと思いこのシリーズをエントリーしてみます。

昨日、ある技工所の方が営業に来られました。
私はお目にかからなかったのですが、スタッフに「技工料金だけでも見てください」と料金表を渡して帰られました。
それを見ると、たぶん独立して技工士さん1人で運営されている技工所のようです。

デンチャー、クラウンブリッジの技工料金を書いてありましたが、驚いたのは金パラのクラウンの技工料金が1800円でした。
模型作り、ワックスアップ、鋳造、研磨、納品全てで1800円です。
これだけ手間のかかる、そして精密さを要求される仕事が私の散髪代の半分以下の値段です。
本当にこれでいいのでしょうか?

今回久しぶりの営業でしたので、いい機会として思うところを書いてみます。

そして、この料金表にはメタルボンド、金属床義歯の料金はありませんでした。
つまりこの技工士さんは、その技術か設備、もしくはその両方を持っていないのだと推測できます。
それでは1800円でクラウンを作らなければならないのも当然かもしれません。

17年前、私が診療所を開設した当初、たくさんの技工所さんが営業に来られました。
そのほぼ100%の方が、技工料金のことしかおっしゃいませんでした。
つまり、「よそより安くしますから、仕事を下さい。」ということです。
「仕事の質」を第一にアピールした技工士さんは残念ながら1人もいませんでした。
それなら、少しは興味を示すのですが・・・

全てその場でお断りし、
「そんなことをしていていいのですか?
 これでは自分の首を自分で絞めているのと同じことですよ。
 歯科治療の質と価値がどんどん下がっていくのではないですか?」
と言うこともありました。

今私のところの技工をしていただいているのは、YBデンタル、ラボ山口、和田精密の3つの技工所です。
それぞれに担当分野が違います。

どの技工所にも技工料金を値切ったりしたことは一度も(いえ、一度だけあります。スタッフのお母さんのメタルボンドの技工料金を、少し安くしてやってくれないか?とYBデンタルさんにお願いしたことがあります。もちろん私はこの治療費を一切もらっていませんが。)・・・ほぼ、ありません。

また、この3つの技工所は最初から「質」を問題にされており、「料金が安い」とは言いませんでした。
こんなことを書くと会計事務所の担当のHさんには叱られますが、私は技工料金の仔細をほとんど知りません・・・というより、覚えていません。
「ご自分で必要と思われる技工料金を請求して下さい」と言うだけです。
たまに技工料金について聞くことがありますが、それは特殊な治療の場合のみで、患者様に妥当な治療費を請求するためにです。
(ウソだと思われるのなら、問い合わせてみてください。)

でも誤解しないで下さい。
そんなにお互いに悠々とはしていません。
それだけの作業量、時間、努力、経費、集中力が要求されるわけですから、殿様商売では決してないのです。
先週からこのブログでも書いているように、今私は疲労の極致です。
少し吐き気もします。
今週末はスタッフ全員で学会にも行きますので、休みはとれません。
しかしそれは決して苦痛なことではなく、この土、日曜日の大阪を本当に楽しみにしています。
そうするのは、収入は別にして価値のある治療をしたいと思う一心です。

もし卒業して独立したら、あなたは自分の作るクラウン1本の技工料金をいくら請求したいですか?
1800円ですか?
1800円でできるクラウンの質とはいったいどんなものなのでしょう?
それとも身を削って、利益もない仕事を使命感だけでやっていけるのでしょうか?





昨日もインプラントがらみの複雑な補綴治療がありました。
インプラントの上部構造にアタッチメント、スタビライザー、ブレーシングアームを組み込んだ技工物を試適し、それをピックアップしたデンチャーの印象採得をしました。1時間半を要しました。
これはYBデンタルの米澤さんの技工です。



最近はインプラントの関係の治療をしていると特に、「歯医者の仕事も変わったなー」と思います。
もう歯科医1人の奮闘でどうにかなるレベルの問題ではないのです。
優秀な助手、衛生士、技工士がいなくては大掛かりな治療は出来ません。
特に、技工士の能力が大きな問題になります。
歯科医の仕事には優秀な技工士がなくてはならないのです。
しかしこんなことは言い古された言葉ですね。
こういいながら技工料金を値切る歯科医が多いので、このような事態になっていることも否めません。

しかし、皆さんには、夢をもって技工の勉強をしていただきたいのです。
いつか私が仕事をお願いした時には素晴らしい技工物を作って欲しいのです。
決して自分の技術を安売りして欲しくはないのです。
そんなことは夢だと思いますか?



このシンポジウム(審美とインプラント修復治療:クインテッセンス主宰)は、歯科医とその技工を担当している技工士がペアで発表をしていました。
吉田明彦技工士はアメリカ人のドクターと一緒に発表をしていました。
つまりこの吉田さんはアメリカで自分の技工所を持ち、なおかつその技工所でアメリカ人の技工士に講習もしていました。
また今をときめく北九州の筒井昌秀先生の技工は、増田長次郎技工士が行っていました。増田さんは兵庫県で開業しています。(うろ覚えなのですが)
つまり、模型と技工物は宅急便で行き来しているのです。
もはや距離さえも問題ではなくなっています。
こんなことは、私が歯科医になった時は考えられなかったことです。

日本人はアメリカ人に教えてもらうもの。
技工士は歯科医の常に下。
技工所は近く。
これがその当時はあたりまえでした。(保母先生のところは違いましたが)

もはや、世界のトップはそうではありません。
お互いにパートナーとしてやっているのです。
またそうしないと仕事が複雑になりすぎてやっていけなくなっているのです。

こんな技工士になりたいとは思いませんか?
そのためには今何を考え、これから何をしなければいけないのか?
こんなことを、私のつたない経験からお話してみたいと思います。
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:23| Comment(2) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月14日

ミニカンファランス


診療開始前のミニカンファランス


私はここに。


見ているのはこれ。
アポイントメントブックをコピーして、その日の分をはりつけてある。
これがまあ平均的な予約状態。
スタッフ1人あたり3〜4人の患者様を受け持つ。
治療内容、担当者を記入してある。

診療のシステムは確立しているので、ほとんどの場合は「いつものように」ですむのだが、特別な内容や注意点があれば説明しておく。
また、初診の方の人となり、来られることになった経緯なども話しておく。


今日一番の患者様。
担当者が必ず待合室まで迎えにいく。
決して病院独特のおかしなイントネーションで「○○さーん。2番にお入り下さい。」などと言う事はない。

(ちなみに私のパイプは今パリにある。)
posted by maruoka-yoshimitsu at 13:43| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする

2005年06月07日

お気に召すまま・・・

77歳女性。少し耳が遠いがお元気で面白い人だ。
だが、とにかく「自分の思うようにしたい。」


奥の削ってある歯に、


セラミッククラウンを入れた。
この歯が虫歯になったので、この治療をした。
治療する前に、
「前の抜けてるところどうする?
 その前の歯削って、つなげてブリッジにしたほうがいいよ。」
「先生。削るのイヤやわ。別に不自由ないし。」
「ああ。そう。それなら奥の歯だけ被せておわりね。」
「うん。」


反対側。
奥歯はない。
「こっちも不自由ない?」
「不自由ないし、これでいいよ。」
「わかった。」

こういう会話となる。
「歯科医としてこのような終わらせ方はいけない」とお叱りの声を受けるかも知れないのだが、私はこれで間違っていないと思っている。
この方が40歳、50歳なら、このまま放置しておくとどうなるか?これからどうしなければいけないのか?を詳しく説明をする。
しかし、この場合はこれでよいと思っている。
もちろんこの方は何本かの歯を失ってはいるが、この年齢の平均的な歯の状態よりははるかに良い状態であることも、これで終わらせる重要な要素ではある。

この年齢で、日常生活に不自由がなく、治療したくないのであればその意思を尊重してあげるべきだと思う。
私は、これもQuality of Lifeだと考えている。

私の師 川村泰雄先生の言葉
「歯の数をそろえることが、治療の目的ではありません。」
posted by maruoka-yoshimitsu at 09:58| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする