今日は診療の最終日でもある。
今日は長文になろうかと(笑)
なぜかと言うと、昨夜(実はその今夜書き始めているのですが)「JIN」-仁-というドラマの総集編を見たから。
このドラマを知らなかった。
新聞のテレビ欄を見ていたら、華岡清洲の物語かなぁと思った。
実際は、現代の脳外科医がタイムスリップして江戸時代に行くというものだった。
出てくる出てくる、大好きな坂本竜馬、勝海舟、緒方洪庵・・・・・
かなり感動的なドラマですね。よくできている。
最近は地上波をほとんど見ないもので知らなかった。
実は、「思い」のブログを書こうとは思っていたのです。
それはNHKの「坂の上の雲」を見ていたから。
この思いを誰に伝えたいかというと、若き歯科医に伝えたい。
今年の夏ぐらいだったかなぁ。
インプラントで著名なある先生から勉強会に誘われました。
行ってみると、ほぼ私が最年長。
第一回目、二回目の会合で私が発表をしました。
それ以来、「丸岡先生は凝り性だから」とよく言われるようになりました。(笑)
私は凝り性だとは思っていないんです。
自分では必要最小限のことしかやっていないつもりなんですが。(笑)
で・・・・、じゃあ、なぜそれをするかということ。
結構このブログを見ていてくれている先生もいらっしゃるようなので、それをお話ししたい。
「坂の上の雲」はご存知だろうか?司馬遼太郎の書いた明治の物語。
この内容は、ここには書かない。
私の師の川村先生は、あいしクラブという患者さんの組織を運営されておられる。
もう十数年前だが、川村先生が東京で「歯科医療を考える」という講演会を開かれた。
そこでその当時のあいしクラブの会長が挨拶をされた。
ある大きな学会の元会長だった。
その方は、開口一番こう言われた。
「歯科医というものには教養がない。」
いまだにはっきりと覚えている。
つまり、司馬遼太郎を知らない。「坂の上の雲」を読んだ事がない。秋山兄弟を知らない・・・・
そんな人は少なくともこの後を読まれても意味は分からないだろうから。
このドラマをなぜ良いと感じるか?
もちろんドラマであることは承知の上で言うと、「私利私欲」が無いということ。
ひたすら、日本のため、国家のため、正義のためが貫かれている。
国粋主義?軍国主義?
年末になってNHKのBSで特選集の再放送をよくやっている。
小野田寛郎さんのインタビューを見た。
小野田さんはこう言われた。
「愛国心?それは家族が大事って事でしょ。」
つまり、すべては「人」を大事にするということから始まる。
「己」を捨ててね。
最近、確かに歯科業界も驚くような不況だ。
それは、私の医院も例外ではない。
なので、歯科専門の経営コンサルタントが暗躍し、歯科医が経営セミナーに走る。
そこで言われるのが、「前年比収入○○%アップ。レセプト枚数が月に○○○枚。この先生はすごい。」(笑)
確かに、現代の治療にはお金がかかる。
高度な治療を受ける側も、する側も。
医院が傾いたら、もちろんそれは大変だから、ある程度のお金は必要だ。
でも、経営セミナーに走る歯科医を患者さんはどう思うだろうか?
いまどきのあの小奇麗な歯科医院のホームページ。まるでエステティックサロンのような。
あれを見て、歯科医のあなた方はどう感じているのだろうか?
「医院」で働く私たちは「医師」。「医師」とは何か?
「JIN」の主人公は、江戸でコレラが大流行した時、「治療法をおしえて欲しい」と請う緒方洪庵に、「私は治療法を知りません」と嘘を言う。
それは、歴史を変えてしまうことに恐怖を覚えたから。
後にコレラの治療を始め、その助けを求めた主人公に緒方洪庵はこう言う。
「いかなる事情があるにせよ、あなたは患者を見捨てた。
それは医者として絶対に許されないことです。」
緒方洪庵は幕末の実在の蘭学者、医師。
大阪で適塾(正確には適々斎塾)を開き、多くの偉人を育てた。
門人には、福澤諭吉、大村益次郎(村田蔵六)などがいた。
金銭や栄誉に関心がなかった洪庵を、幕府が名声を聞きつけ御典医として招聘するが、洪庵は嫌がった。
しかし、願いかなわず54歳の若さで江戸で死去。
適塾は今でも保存されている。
最近は、診療時間も長くなった。
夜の8時、9時まで診療している歯科医院もそう珍しくない。
それは、なぜなんだろうか?
全ては患者さんの便宜のためであるならそれは素晴らしいことだ。
でも、違うよね。
そんな疲れきった心と体で、患者さんを人として包み込むことができるだろうか?
私の師の川村泰雄先生のそのまた師のパンキー先生の言葉に、
「私は未だ、歯が一人で歩いてきてオフィスのドアをノックするのを見たことがない。」
というのがある。
歯は、人間の口の中に生えている。
つまり、歯を治療するということは、その人そのものを治療するということ。
歯科治療は感情なのだ。
大掛かりな手術をして、歯を作って、それがとても美しい仕上がり・・・そして素晴らしい症例発表。
その裏側にあるものは?
患者さんの心からの感謝かもしれない・・・・・
しかし、こんな思いもあることを知っていますか?
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ある有名歯科医院での出来事全国でも名の通っているテクニカル系の先生のライブオペを見学したことがある。
ガラス張りのオペ室にビデオが設置され、別室で見学している先生たちも見たことのある著名な先生ばかり。
2時間程度に及ぶその処置が終わり、別室では口々に「素晴らしい」「さすがだ」など称賛の声があふれている。
実はボクはそのあと偶然にも実際にその処置をされた患者さんとお話ができる瞬間があった。
「どうでした?」の質問から返ってきた返答は・・・
「もう二度とこんなつらいことはしたくない」
という一言。
その後この患者さんがどういう経過を辿ったかはわかりませんが、この時の患者さんの顔は忘れられません。
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とりあえず午前中はここまで。
思い 歯科医はつらいよ編に続く・・・・予定(来年かも)