嵯峨大念仏狂言#2より続く

とことこと坂道を歩いていく。

石段を上がると
祇王寺。
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元々は浄土宗の僧・良鎮が創建した往生院の跡を引き継いで今日に至る。
また、平家物語には平清盛の寵愛を受けた白拍子の祇王と仏御前が出家のため入寺したとしても知られている。
その後往生院は衰退をたどり、明治時代の初期に一時廃寺となるが、嵯峨大覚寺の支配を受け真言宗に改宗し、1905年(明治38年)に富岡鉄斎らの尽力もあって復興を遂げた。
苔の庭でも知られる。
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入口近くに猫がいた。
祇王寺の猫は有名らしい。→
祇王寺の水先案内猫この日は白い猫ではなかったが。

苔が美しい。

竹林は清々しい。

日本では花と言えば桜だが、中国で花と言えば牡丹である。

祇王寺のなか。
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清盛は天下をとっている時、意表をつく振る舞いをすることがあった。
当時、京都で有名であった白拍子に祇王・祇女という姉妹がいたが、祇王を召し、祇女や母のとぢにもいい生活を送らせていた。
祇王の隆盛は大変なもので、うらやむ者やそねむ者があり。うらやむ者は祇一と祇二、祇福、祇徳というような者もいた。
そして、三年がすぎたが、京都に加賀国出身の白拍子で歌の上手なものがでてきた。名前は仏、年齢は16である。
「昔よりおほくの白拍子ありしが、かゝるまひ(舞い)はいまだ見ず。」と京でもてはやされた。
仏御前は、「私が清盛公に呼んでいただけないのは残念です。邸のあがってみましょう。」と清盛の邸へ行って案内を求めた。
清盛は一度は断ったが、祇王が、
「あそびもののすいさん(推参)はつねのならひでこそさぶらえ。…御対面さぶらえ。」ととりなした結果、会うことになった。仏は、
君をはじめてみるおりは千代も経ぬべしひめこ松
おまへの池なるかめおかに鶴こそむれゐてあそぶめれ
と今様を歌い、舞いを舞った。
仏御前は美しい人で声も歌もよかったので、清盛はたちまち気に入って、御前が断ったが、
「…祇王があるをはゞかるか。その儀ならばぎわう(祇王)をこそいださめ。」
と祇王を追い出してしまった。
祇王は一首の歌を残して去った。
もえ出るもかるゝもおなじ野邊の草いづれか秋にあはではつべき
翌年の春、清盛は仏御前をなぐさめるために祇王を呼んだ。
祇王はしかたなく妓女と出向いたが、下座に通され、仏が清盛の抗議をしたがいれられず、そのまま今様を歌わせた。
仏もむかしはぼんぶ(凡夫)なり我等も終(つひ)には佛なり
いづれも仏性具せる身をへだつるのみこそかなしけれ
祇王は帰った後、祇女とおやのとぢもろとも出家した。
その年の秋の夜、三人の家を訪ねてきたものがある。
戸を開けると、そこには仏御前がいた。
「…女のはかなきこと、心ううとこそこそさぶらひしか。(祇王におこったことが)いつかわが身のうへならんと思ひしかば、
…その後はざいしよ(在所)を焉(いづく)ともしりまいらせざりつる、かやうにさまをかへて、ひと所にとうけ給わつてのちは、あまりに浦山(うらやま)しくて、
つねに暇(いとま)を申(まうし)しかども、入道殿さらに御もちいましまさず。…つくづく物を案づるに、
娑婆の栄花は夢のゆめ、楽みさかえてなにかはせむ。
…けさまぎれ出て、かくなつてこそまいりきたれ。」
と尼になった姿を見せた。
その後は四人いっしょに仏前の花を具え、念仏を唱えてみな往生した。御白河法皇の過去帳にも四人一緒にいれられている。
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右が平清盛公慰霊塔、左が祇王の墓。
さてもう少し
嵯峨大念仏狂言#4に続く
posted by maruoka-yoshimitsu at 09:00|
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