Hさんは何冊か著書もある方。
今日はリンクはあえてしていない。
昨日は、ついに痛みに耐え切れず
馴染みのK歯科へ飛び込む。
折り悪く夏休みであったが、特別に見てもらった。
やさしい、赤ひげ先生である。
もともと、K歯科は千駄ヶ谷にあったのだが、
北大出身の先生にはちゃらちゃらしたファッションタウンがどうも、
味覚に合わなかったらしく
医院を閉じてしまった。
今は墨東、向島百花園の近くに門を構えている。
歯医者復活である。
正直一筋、説明懇切、常に患者の身になって
診てくれる。
金がない人からは、金をとらないなんてこともあったそうである。
歯医者の椅子に座って、
本日の施術の説明をうける。
一時間半の長治療であった。
まず、痛む歯の神経を殺す。
歯が浮き上がってぐらついているので、
両隣の歯を繋ぐ金具を埋め込み
歯茎側の腐った部分を掻破する。
いや、これは痛そうな拷問である。
しかし、加藤先生の手になると痛みがないのである。
これまで、随分いろいろな歯医者に行ったが、
K先生と比肩できるところはなかった。
私は歯科医をこのように分類している。
第一世代 : 入れ歯師 柘植の木なんかを削って総入れ歯を作っていた時代
第二世代 : 痛くなったら削る、抜く、被せる、入れ歯を作るといった、今の普通の「ハイシャサン」
第三世代 : お口全体を一つに単位として考え、総合的にバランスの取れた治療を行う。病気を中心とするのではなく、原因を第一として考え、治療より予防に重点を置く。
第四世代 : 削る、抜くをできるだけ避け、インプラント治療や失われた組織の再生療法をおこなう。
このK先生は第二世代のいわゆるいい先生だと思われるが、現在の考え方と比較してみる。
もちろん、このK先生の治療を否定するわけでは全くなく、あくまでも理論的に「違い」を考察してみる。
1.「ついに痛みに耐え切れず馴染みのK歯科へ飛び込む。」
馴染みであるのなら、このような状態になる歯を放置しておくべきではないと思う。
初診時にお口全体の状態を詳しく検査し、治療をしておくべきだろう。
もし治療をしない場合でも、Hさんにはこのような状態であること、放置すればどのようになるのかを告知しておく必要がある。
2.「金がない人からは、金をとらないなんてこともあったそうである。」
これは立派な行為であると思う。
しかし、「よい治療を受けたいのか?」「安い治療を受けたいのか?」このあたりはお互いにしっかり認識しておく必要があるのだと思う。
もちろん「安くてよい治療」が一番なのだが、最近の第四世代の歯科治療を行おうとすると、費用はかかる。
ここで、いわゆる「赤ひげ先生」について述べておく。
これは山本周五郎原作の「赤ひげ」に出てくる江戸時代の架空の医師新出去定のことである。
彼は小石川療養所で貧民たちの医療に力を尽くした医師として、良医の代名詞となっているが、小石川療養所は徳川幕府が貧民たちの救済施設として作ったもの。
時間を惜しまず、貧しい患者からは治療費を取らずといったことがその行為であるが、ここで小石川療養所は国立病院であったということ。
つまり、新出先生の懐は痛まないということも考えておく必要がある。
「折り悪く夏休みであったが、特別に見てもらった。
やさしい、赤ひげ先生である。」
もちろんこれは医師として絶対必要条件である。
3.「まず、痛む歯の神経を殺す。歯が浮き上がってぐらついているので、両隣の歯を繋ぐ金具を埋め込み歯茎側の腐った部分を掻破する。
この状況から推測するには、この歯は末期の歯周病である。
歯周病は歯を支えている骨が溶けていく病気。
「歯の神経を殺す」となっているので、この骨の吸収が歯の根の先まで進み、根の先から歯の内部にはいっていく神経がそこで侵され、痛みが出ているわけだ。
つまり、末期の歯周病。
抜歯が相当である。
「ぐらついているから隣の歯と連結する」という治療は適切ではない。
今、急性炎症があるため、咬みにくいので応急処置のために連結をするのならよいのだが。
15年ほど前までは、このような「連結」という治療が盛んに行われていた。
しかし、動いている歯と動いていない歯を連結すると確実に『動いていない歯』が悪くなってしまう。
同じような動き方をする歯を何本か連結する方法は現在でも有効であるが、それもあくまでも歯周病自体がコントロールされている場合のみである。
この歯の予後をK先生がどのように説明されたかはっきりとしないのだが、割愛したエントリーの部分から推測するに「抜歯」とは言っておられないようだ。
ここが大きな問題だと思う。
繰り返すが「歯周病で神経がやられる」というのは重度の歯周病で、望みはない。
「歯が浮き上がっているので」
つまり、この歯の周囲はこのような状態のはず。
この汚染された歯の根を自分の体の中に入れておきたくないので、体が自分で押し出しているわけ。
つまり、このような状態が続けば周囲の骨がどんどん溶けていくということ。
そして、連結をした歯の支えの骨まで吸収が進めば、今1本の抜歯で済むものが近い将来3本の抜歯となってしまう。
日本人の抜歯の基準は非常にあいまいである。
世界のスタンダードはこれである。
また、急性炎症期における治療の基本は、できるだけ外科的処置(血が出る処置)は避けるということ。
「歯周病は細菌が出す毒素で骨が溶ける病気」と説明をするのだが、実際はそうではなく、細菌が出す毒素で炎症がおこり、その炎症を起こす物質(起炎物質)に刺激されたマクロファージなどよばれる自分の体の中の特殊な細胞が、骨を壊していくのだ。
つまり、このような炎症期に外科処置をすると、その刺激もこのマクロファージを刺激する大きな原因となり、「ソッ」としておくよりも吸収は進行していく。
つまり、この時点で「歯茎側の腐った部分を掻破する。」という治療はすべきではない。
4.「いや、これは痛そうな拷問である。しかし、加藤先生の手になると痛みがないのである。これまで、随分いろいろな歯医者に行ったが、K先生と比肩できるところはなかった。」
もちろん状況により差はあるし体質にもよるが、この程度の治療であれば麻酔下で無痛で治療を行うことはなにも難しいことではないと思うのだが?
では私ならどうするか?
(レントゲン等を見ていないので、推測であり、Hさんを初診の患者様と仮定します。)
1.レントゲンを撮り(抜歯が相当と判定したら)
2.神経を取り、一時的に横の歯と固定
3.歯と歯ぐきの間の溝を消毒
4.抗生物質を投与
5.「1本がこのような状況になっている場合は、他の歯も似たような状況になっている場合がほとんどです。一度詳しい検査をしてみましょう。」
6.検査
7.歯周病の原因とプラークコントロールの説明
8.抜歯 仮のブリッジのセット
9.歯石を取るなどの徹底的な歯周病の治療
10-a.最終ブリッジのセット
10-b. 可能なら抜歯後9ヶ月待ってインプラントの手術
11.メインテナンス
となるだろう。
「ついに」に続く



今回のご説明は完結に論点を整理されているので、Dentistryについて何もわからないアタシでも治療方針の違いがなぜなのか理解できたと思います。
☆赤ひげ先生は大学の頃に読みました。あの先生は大名の主治医だったりして、お金をとる際にはぼったくっていたような記憶があります。
日本人はプロのサービスに対して正当な対価を出し惜しむ傾向がありませんか?
ただほど恐いものはないのにね♪
わかばさんありがとうございます。
専門的すぎたかな?と思っていたのですが。
でも、わかばさんだから理解していただけたということもあるかもしれませんね。
確かに日本人は形のないものに対価を払うことを惜しみます。
時々、「相談は無料ですか?」という電話があります。
以前はとりあえずきていただいてお話をお伺いしていました。
「あーでもない。こーでもない。」という目的があまり感じられないお話に、1時間ほど写真や模型を示して治療プランの概要をご説明します。
このような場合、必ず「じゃあまた電話します。」と何事もなかったようにお帰りになり、当然あとは何も音沙汰もありません。
「無料」であるかどうかが問題なのでしょう。
お互いに大きな時間のロスです。
またお電話で、「〜の治療費はおいくらですか?」といきなりご質問をされる方がありますが、こんな場合も100%治療にいたることはありません。
つまり、この方たちは費用だけが問題であり、電話を切られた後どうするかというと、また次の歯科医院に電話をし、「おいくらですか?」と聞いてるのでしょう。
1万円といわれたら、次は8千円のとこがないか?ということなのです。
このような場合特徴的なことは、治療の質に関する質問はほぼされないということです。
100円均一の商品を買ってそれがはずれだったとしてもそれはまた買い換えることができますが、治療はなかなかそうはいかないのです。
特に酷いのは「簡潔」と書いたつもりが「完結」になっていたところです。アタシの本意が伝わっているのか、ちょっと自信がありません。
歯医者のタイプを第1世代から第四世代までカテゴリー化されてらしたのでわかりやすかったです。
自分がどういったサービスを求める患者かということを認識していないで、ないものねだりをする人は、結局のところ、満足がいくサービスを得られずにイライラするのだろうなという感想を抱きました。
第二世代の歯医者さんに満足するタイプが第三や第四世代の歯医者さんに治療していただいたとしても、治療費にばかり気をとられて、自分が受けたサービスの真価を理解することはないでしょう。
前回のコメントには具体的な理由は書きませんでしたが、上に書いたようなことを考えながらまるちゃんの投稿を読みました。
あー眠い! おやすみなさい。