しかし、早朝7時半の電話でその平和は崩れた。(そんな大げさではないね)
「Sです。
あの前歯が取れたんです。
私今日の午後から旅行にいくんです。
朝一番に行っていいですか?」
Sさんは知り合いの前医から治療を行き継いだ方である。
非常に古いタイプのインプラント治療を受けておられ、かなり管理が大変。
今回も上の前歯の部分のインプラントが限界に来ていることがわかり、もう撤去して治療をやり直すプランを立てていた矢先のことだった。
全部とれてしまっているのかと思っていたら、こんなブラブラの状態だった。
▼と●の部分は、バイオセラムというインプラント。
20年ほど前はまだ盛んにやられていた治療。
私は、このタイプのインプラントはよくないと思っていたので、使ったことはない。
▼のインプラントが外に押し出されている。
かろうじて、これでぶら下がっている状態。
麻酔をして撤去。
撤去した後。
インプラントが入っていた穴。
白い粒は人工のハイドロキシアパタイト。
これも20年ぐらいまえによく使われていた。
これを入れておくと骨と同化するといわれていたが、もちろんそんなことはない。
ぽろぽろと取れてくる。
このアパタイトと悪い肉芽を掻爬したところ。
頬の側の骨が大きく吸収しており、この部位にはインプラントは入れられないだろう。
縫合
ちょうど再治療のプランを立て始めたところだったので、プランニング用の模型があったし、朝早くに電話をいただいたので、早く来てこんな仮のブリッジの外枠を準備しておいた。
だから、このやり方とは違う作り方。
この外枠にポストをつけたり、さらにプラスチックを盛ったりしながら会わせていく。
仮のブリッジの完成。
仮のブリッジをとめた。
9時から初めて、12時前に終了。
「よかった。
これから信州の自分の別荘に行くのですが、山のなかで周りにお医者さんなんかありませんから、今日外れてよかったです。」
7月の信州ですか。いいですねー。
私は暑い京都で、これからこの後の治療をどうするか?について知恵を絞らないといかんのです。
ちなみに、今日の仮のブリッジももちろんタダです。



アタシはまだ差し歯とは縁がないです。
こういう金属を歯茎に差し込むなんて、とても痛そうです。それから自分が人造人間になったような気になりそう。
おばあさんになっても差し歯のお世話にならないように精進いたします。
えー。
ちょっと誤解されているのかもしれません。
差し歯は自分の歯の根が残っている場合に、歯の根の内部にポストの付いたクラウンを差し込んで、接着剤で止めるものです。
決して歯茎(肉)に差し込むものではありません。
この透明なインプラントは人工サファイヤで、もともとは歯を抜いた後の骨にドリルで穴をあけ、そこにねじ込んであったものです。
こういうタイプのインプラントは、骨と密着せず、インプラント周囲の骨が溶け、悪い肉芽というものに変わってしまいます。
そしてついには、こんな末路になってしまうのです。
今のインプラントはチタン製の表面がザラザラしたもの。
これは骨としっかり結合します。
差し歯というのは、歯が抜けた後では出来ないのですね。
悪い肉芽というのも、今回はしげしげと眺めて見ました。
歯医者さんって、手が器用な人の方が手術がお上手そうです。やはり、そういうことはあるのかしら?
手術が上手なドクターの条件を考えてみました。
1.基礎知識の充実
2.経験(場数)
3.修羅場をくぐった数
4.器用
5.人間性
6.設備
こんな順番になりましょうか。
一番大事なのは1.と3.
ムリをするとどうなるか?を知っていることが一番大切なことでしょう。