さて演壇のネヴィンス先生である。
リンデ先生は大学教授。つまりサラリーマン。
ネヴィンス先生は、元アメリカ歯周病学会会長、歯周病専門誌の編集長でもあるが、根本的に違うのは、ネヴィンス先生は「開業医」つまり経営者である。
この立場の違う、しかし世界のトップレベルの歯科医が同じテーマで講演をするという今回の学会は大変な価値があった。
また今回は事前に日本側の座長から実際の症例を提示し、それに対する治療方針や治療内容に関するコメントを両先生にいただくというかなり実践的な学会でもある。
さてこれが日本側から提示された実際の症例。
一般の方には少し分かりにくいかも知れないが、○の部分(下顎の前歯)が問題。
犬歯から反対側の犬歯までを前歯というが、犬歯間には4本の前歯がある。
このレントゲンではそのうち1本はもう失われている。
さあ、ここをどうするのか?
ネヴィンス先生の答え
「もうこの3本は抜歯をします。
そして、2本のインプラントを入れて、4本のブリッジにするか、もしくはインプラントを せずに、2本の犬歯を土台にしてブリッジ(6本の歯)にします。」
専門的にはなるが、問題の3本の前歯のうち、1本に関しては日本人歯科医のそうですね50%ぐらいは「抜歯」というかも知れない、しかしまさかあと2本も抜歯という判断は、日本人歯科医はまずしない。
ネヴィンス先生はアメリカのトップクラスの歯周病専門医である。
そういうと、もうほかの歯科医では治せないグラグラの歯も治せるように感じるかも知れないが、決してそうではない。
つまりはこういうこと
常に戦略を考えているわけである。
なんとなく「歯は抜かないほうがいいし・・・」というようなあいまいな理由でプランニングはしないのだ。
もちろん最終的な決定は患者様自身がするわけだが、
例えばこの女優もセット代をケチらずに、素晴らしいヘアースタイルでパーティーに行けばどこかのプロデューサーの目にとまり、大役に抜擢されたかも知れない。
ここで抜歯をしなければ、「歯を残したい」という希望は満足させられるかもしれない。
しかし、ことあるごとにトラブルを起こす歯を抱えて10年生活をすることと、見た目も問題なくしっかりと長持ちをするブリッジで治療し、心配事をなくしておくこと・・・
どちらが幸せだろうか?
このような考え方の違いもさて出席者のどれぐらいの方が理解しただろう?
「なー。アメリカの専門医はあれ抜歯っていうやろ。」
「ほんとですねー」
昼食時にこんな会話になった。
プランニングが終わったあと、担当衛生士には、なぜこのような治療計画になるのかを説明をする。
そのたびにこのような話をするので、私のスタッフは再認識したようだ。
でも、いっぱい食べると眠いよ。


