2005年06月28日

臨床歯周病学会<2>

臨床歯周病学会<1>の続き


Dr.Nevins(元アメリカ歯周病学会会長)、Prof.Lindheのネームバリューはやはりすごい。
大阪国際会議場の大ホール1階席はほぼ満席。
衛生士の姿が多く、それは大変良いことなのだが、このお二人の真意をさて何人が理解しただろう?(これは歯科医師にも当てはまる)

つまりこういうこと・・・


これはGTR法という歯周病に対する手術である。
ある条件がそろった状態でこの手術をすると、溶けてしまった歯を支える骨が再生する。
これは下顎の奥歯の手術。
骨を作りたい部分を特殊な膜(ゴアテックスなど)でカバーして待つ。
再び歯ぐきを開くと、骨が新生しているのがわかる。


これがリンデ先生のデータ。
上顎の奥歯に対するこの手術の成績である。
Testとは歯ぐきを開き、膜を入れたことを示し、Controlとはその同じ患者の反対側の歯の歯ぐきを開き、歯の周囲の清掃のみをしたことを示す。
分母が治療総数。分子が骨が再生した数。

まずリンデ先生は上顎の奥歯にこのGTR法で手術をして、成功した治療例を出された。
次に失敗し、骨が再生しなかった例を出された。
そして、このデータ。
「つまり、この部位にはGTRを行っても10%の成功率もありません。
 また、膜を入れても入れなくても結果は同じです。
 ですので、上顎大臼歯にはGTRをすべきではありません。」
この整然とした科学的思考と検証。

日本人歯科医が開催するこのようなGTRの講習会にいくと、成功例しか出されない。
1つの成功例の後ろにある9つの失敗例は隠される。
その成功例だけを見た受講者は、「私でもすぐにできる」と思い込む。
そして、機材を買い込み、未熟なテクニックと不完全な知識で手術をしてしまう。

患者様は実験台ではないのだ。


全く関係の無いところからの引用になるのだが、別個に独立したエントリーにするよりもここに入れておいたほうが理解していただきやすいと思う。
これは私が趣味のパイプを時々購入する甲子園の[ぱいぷ堂さんのブログ]から。

ここのご主人は海外のパイプ作家さんと直接取引をされている。
5月にシカゴでパイプショーがあり、そこに行かれて仕入れをし、親しい作家さんの家に滞在されていた。
パイプにはハンドメイドとマシーンメイドがあり、この作家さんたちはもちろん1本ずつ手作りをされている。
Ed、Teddyという名前が出てくるが、この方たちはパイプ界の大御所。
Teddy Knudsenの最近の一番高価なパイプは96万円だったが、それはすぐに売れた。(買ったのは私・・・・・ではない)
その人たちの考え方である。
今日はあえて解説はしない。
どう感じていただけるだろうか?



Edは
某作家のパイプを
「これは作家の目からみれば作るのは簡単すぎるし
パイプも(シェイプとしては)あまり出来は良くない。
でも腹が立つ事に、やたらと旨い」
と、そのパイプを結構頻繁に使っていた。
作家でありながらその本質を解っているところが素晴らしい。

TeddyとEdと話しているときに
とある作家のパイプについて
「このやり方は是か非か」
というような話になった事がある。
が、Teddyが、
「確かに作家の目からすればそうだが・・・
このパイプは面白い、だからいいんじゃないか」
と言った。

具体的な内容はぼかすが、
作家、というかこれはどんな分野に於ても言えると思うのだが、
作る側のエゴが強すぎると
往々にして消費者の側の立場からどう見えているかが
見えなくなってしまう場合があるが、それは避けなければならない。
トップクラスの作家が何故そこにいるのかを考えると、
恐らく常に全体が見える眼を持っているからではないかと思う。


解りにくければ、作家を歯科医に、消費者を患者に置き換えてみれば・・・
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:05| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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