2007年06月20日

抜きたくない感情#2

抜きたくない感情#1より続く

指紋も一つとして同じものはないと言われますが、『心の基礎構造』もそうです。
しかし指紋は誰の指紋を見ても指紋とわかります。
指紋は指紋です。
しかし『心の基礎構造』の個人差はだれも理解できないほど大きいと思っています。

それはこの「ザ・セル」などを観ていただくとイメージし易いかと思います。

しかし、歯を抜かなければならないとなった時の皆さんの反応には
あまり差が無いように感じています。
なぜ、心のありようには大きな差があるのに、この場合の反応にはあまり差が無いのでしょう?
とても不思議でなりませんし、私ははっきりした解答を持っていません。

しかし、私の患者様の治療に関し、ある場合においてはそうではありません。
丸岡歯科クリニックのホームページやこのブログでも、かなり大掛かりな治療の症例を載せています。
そのような治療には費用がかかります。
となると、そのような治療を受けられる方は、社会的な地位が高かったり、経済的な問題がない方となります。

そういう場合、一般の方々は、「そんな人の治療は難しいだろう。」と思われるかもしれませんが、それは違います。
全くの正反対。
治療は非常にスムーズに進みます。

まず予約時間を厳密に守られます。
遅れて来られることもなく、早く来られることもなく、ジャストタイムで来られます。
またお忙しいはずなのに、急な用事で予約をキャンセルされることもほぼ99.9%ありません。
これは感心します。

また、大掛かりな治療ですので、当然抜歯や手術、1回の治療時間が3時間ほどになることもあります。
しかし、そんな治療のあとでも、「痛い」「つらい」はおっしゃいません。
反対に、長い時間の治療が終わった後など、「長い時間ありがとうございました」と深々と頭を下げていただけます。

しかし、このような方の治療がスムーズに進むその一番の理由は、「治療プランを立てる段階でつまずかない」ということです。
私たちはこのような治療の進め方をしています。

精密な検査をし、完成模型を作成し、それをもとにレントゲンや今までの治療例をお見せしながら、私の治療プランをお話します。
そのときにお話するのは、「この歯を抜歯して、最終このようにします。」ということだけではありません。

「なぜこの歯を抜歯しなければならないのか?」その理由を詳しくお話します。(その理由は後述します)
その場合、迷われないのです。
「後々のことを考えると、AとBの理由でこの歯は抜歯をするのが妥当です。抜歯をした後はこのようにすることができます。○○さんは、どう思われますか?」
「はい。そうしてください。」
「ではこのプランどおりに進めていってよろしいですか?」
「はい。お任せします。」

この場合も、私のご説明したことを100%理解していただいているとは思っていません。
もしかしたら、50%?  いや10%ぐらい?
でもこのような方は、『心の基本構造』の中に「人を信用する能力」
「何が自分にとって有利かを見極める能力」「無意識に科学的、理論的に考える能力」「感情をコントロールする能力」を持っておられるのだと思います。
また、それがあるから今までうまくやってこられた。(歯以外は)

ここで、「どうしましょう?」「抜歯は気が進まないんです。」「もう少し考えます。」このようなお返事が返ってくる場合の90%は治療には至りません。


もちろん当初は抜歯をご理解いただけても、やはり感情は動きます。
この方の下顎の治療経過(ちょっと長いです)
このように上顎も治療をしていました。
プランニングの段階では、上顎の歯は全て抜歯して下顎と同じように、インプラントでサポートをする総義歯にする予定でしたし、この方ももちろんそのプランに同意をされました。
そしてインプラントの手術をしていました。



2本のインプラントを入れたところです。
2本の歯が残っていますが、歯周病が進行しているため抜歯が必要です。
しかし、この歯を抜いてしまうと義歯を維持することができません。
なので、インプラントの手術が終わるまで、現在の義歯を維持させるためだけに残してありました。


残してある歯の前の部分の手術

そして、全ての手術が終わったため、「そろそろ抜歯を」とお話したところ、

「先生、この2本の歯。残せませんか?」
前よりしっかりしてきましたし、できるだけ残したいのですが。」
「その歯は重度の歯周病であることはお話しました。
そして、それを治療することはできません。
徐々に歯周病は進行します。
たぶん、1〜2年でグラグラになってしまいます。
今、その歯を残して下顎と同じようなゴールに到達することは可能です。
しかし、その歯を残すことによって、その周囲のインプラントがどのような影響を受けるかが予想がつきません。
また、どうしても抜歯をしなければならなくなったとき、インプラントが使えたとしても、そのときにはまた治療時間と、費用がかかります。
それでもかまいませんか?」
「はい。それで結構です。」


なので2本の歯を残して最終段階の治療に入っています。
この方が私を信頼していただいているように、私もこの方を信頼していますので、それはそれでいいのだと思います。
これが「自己責任」と「信頼」かと思います。

抜きたくない感情#3に続く

 


posted by maruoka-yoshimitsu at 11:57| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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