
私が小学生のころは、日曜日の昼食が終ったあと、家族全員でよく「松竹新喜劇」を見ていました。
藤山寛美さん演じる丁稚さんなどは今でもよく憶えています。
「夜明けのスモッグ」「難波の鯉の物語」など演目もよく憶えています。
小学生が見てもメリハリがあり、とても面白かったと思います。
ご存知のように藤山寛美さんは破天荒な芸人でした。
多額の借金を抱えましたが、それは「遊ばん芸人は花が無うなる」という母親の一家言を守り、夜の町を金に糸目をつけず豪遊したためでした。
知人に騙された巨額の負債もあったようです。
1966年には当時の金額で1億8000万円の負債を抱えて自己破産をしましたが、知人に騙された巨額の負債について、「アホをやっておりますが、わてのアホはどうやら本物らしゅうおます」と言い、恨み言一つも言いませんでした。
それから紆余曲折を経て、20年間にわたり一日も休まず舞台に立ち続け、大阪万博にすら行けなかったと言う逸話も残っていますが、ちなみに上記の借金は19年目に完済されました。
一度藤山寛美さんのドキュメンタリーを見たことがあります。
稽古中の藤山寛美さんは鬼気迫るものがあり、楽屋で寝泊りする風景など、子供心にもすごいなーと感じたものです。
「それわやなぁ」という台詞がうまく言えない劇団員に、その一言のみを延々と繰り返させていたシーンがありました。
「お前は、何でそんなんができんのや。『指輪やなぁ』ちゅうてみぃ。」
「ゆびわやなぁ。」
「それで、『それわやなぁ』ちゅうてみぃ」
「それわやなぁ。」
「そうや!それが大阪弁や。わかったんかい。このアホ!」
すごいこだわりでした。
先週でしたか、関西の芸人(?)と女優(?)の結婚披露宴の様子がゴールデンタイムにそれも2時間も放送されていました。
(このお二人については言及する価値もないと思いますので、名前も書きません。)
一体こんなもの誰が見るのだろうと思っていましたら、この番組の関西での視聴率が40%だったと聞いて、驚いてしまいました。
世も末だ。
上記の藤山寛美さんのドキュメンタリーのなかで、寛美さんのこんな言葉をいまだに覚えています。
「ええか、芝居を観にきてくれるお客さんは普通の人や。普通の人が普通の芝居を観て何が面白い?」
このところ、芸能人の襲名披露のご祝儀が税務調査の標的になっています。
税務署は年によって重点的に調査をする業種を決めるようですので、今年はそれらが対象になっているのでしょう。
なので、他に思い当たる芸人さんは戦々恐々でしょう。
私は芸人さんは特別扱いでいいのだと思っています。
普通でない人たちなので、人を感動させたり笑わせたりできるわけですし。
それなのに普通の道徳を押し付けることは、芸の衰退を意味するのだと思います。
昔は歌舞伎役者さんや落語家、俳優など伝説的な芸人がいました。
いつの間にか、ワイドショーや写真週刊誌がおもしろおかしく取り上げ、私生活を丸裸にするようになりましたが、私はそっとしておいてあげるべきだと思います。
それよりもすばらしい芸を見せて欲しい。
そのために私たちがやらなければならないことは、そんなことに興味を示さないことではないでしょうか。
関西の芸能を良くしていくのなら、ゴールデンタイムにあんなくだらない番組を放送せず、米朝さんの「地獄八景」や藤山直美さんの「鼻のおろく」を中継していただけないでしょうか?
もしもし、関テレさん。よろしくお願いします。(藤山寛美風に)


