2007年05月15日

血が止まらない#1

近所の小学校の養護教員の方から電話。

「学校で生徒同士がぶつかって、前歯を打ちました。
 相手は顔です。
 出血が止まりません。
 その生徒は先生のかかりつけの○○□□君です。
 どうしたらいいでしょうか?」
「すぐに来てください。」

電話で状況を聞いても仕方ないので、こう言う。
出血が止まらない? うーん。

でスタッフに指示し、診療台を空けて待つ。

が、なかなか来ない。歩いて10分ぐらいのはずなんだが。

来た。
教頭先生も一緒。


「出血が止まらない」だったので、かなり心配していたが外傷はそうたいしたことはない。
よかった。
でも事故後1時間以上経っているのに、確かに口の中から出血をしている。
まず出血部位の特定から。


洗浄してよく見ると、出血は歯の周りから。
拭いても拭いても、歯と歯ぐきの境目の溝の中から、湧き出すように出血してくる。
なぜこんなことが起こるのか?

この歯は抜けている。
歯は骨の穴に埋まっているが、これは関節の一種とみなされる。
だから、こういうケースは完全脱臼と言う。

今回のケースは、完全に飛び出してはいないが、ちょっと指で引っ張れば抜けてしまう。
こういう状態を不完全脱臼とか亜脱臼と言う。
まあ、固定をしてやれば元に戻るのだろうが、厄介なのはこの子の年齢。
これがまた出血が止まらない理由でもある。

 
左はこの子の前歯のレントゲン。
▼の歯が亜脱臼している歯。

右は成人の同じ部位の前歯
歯の根の先の感じが違うのがわかりますでしょうか?

歯ははえながら、またはえた後もゆっくりと根が成長を続ける。
成長途中の歯は、中に入っている神経が通る管(歯の中心の黒い部分)も太い。
そして根の先の管の穴も大きい。
成人になると小さくなって行く。
この子の根はまだ成長が終わっていない。

神経と言っても、一緒に血管も通っているので、打撲により根の先の血管が切れその出血が続いたと思われる。
上記の理由で血管も太いので出血が多いわけだ。

一番の問題は、この歯の神経がもし死んでしまえば、この歯の根はもう成長できないことになる。
これは困る。
ので、もしそうであれば、あとあといろんな治療をする必要がある。
が、今はとりあえず出血を止め、この歯が抜けないようにしないといけない。

血が止まらない#2に続く

  
posted by maruoka-yoshimitsu at 12:53| Comment(0) | TrackBack(0) | 小児歯科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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