内田樹の研究室にのっていたこのお二人の対談集である。
内田樹氏(うちだ・たつる) 神戸女学院大学文学部教授
春日武彦氏(かすが・たけひこ) 都立墨東病院精神科部長
医療従事者が考えておかなければいけない大切な事についての大きな示唆があります。
春日 臨床では「判断に困る」状況がたくさんあります。そういう時にいちいち正論をぶつけられたりすると,議論の途中でめんどくさくなっちゃうんですよね。
内田 議論しても,互いにどうしても論破しきれない部分が残る。だからいつまでたっても先に進めない。それは結局,未来にかかわる問題が絡んでいるからですよね。
両者が異なる未来予測に基づいて論理を立てていると,結局そこについては,時間がたって実際に結果が出るまではわからない。「朝まで生テレビ」の議論がいっつも収拾つかなくなるのも同じ理屈です。
こういう場合には,「待つ」とか「保留」ということが有効になる。放っておけば,短いものだったら1週間,長くても1−2年待てば,何らかの結果が出る。それから議論すれば合意に至れるということは,実際にはすごく多いと思うんですよね。
患者様はどうしても結論を求めたがりますし、歯科医もそうしなければいけないという強迫観念があり、性急に答えを出しがちなのですが、患者様の生活にそう支障が無い限り「保留」とオプションがあってもいいんだと思います。
その場合、明るく自信を持って
「そうですね。この歯に関しては次回のメインテナンスのときにもう一度レントゲンをとって、それから考えましょう。」
たとえ90%抜歯が必要だろうと私が思っていても、そう言ってあげると患者さまは安心します。
またその次回のときに「やっぱり抜歯をしたほうがよいでしょうね。」と言ったとしても、その結論を受け入れやすいのです。
この対談の内容に関してはあと何回か考えて見ます。


