シャヤが打席に入ると、ピッチャーは何歩か前にでて、ボールをとてもゆっくりと投げてくれました。
シャヤがバットにボールを当てられるように気遣ってくれたのです。
シャヤは大きく空振りしました。シャヤのチームメイトが打席に集まり、シャヤのバットを一緒にもってくれました。
ピッチャーはもう何歩か前に出て、ボールをトスしました。
シャヤと仲間たちはバットをボールに当て、ボールはピッチャーの前に転がりました。
ピッチャーがそれを捕って一塁に送ればゲームセットとなるはずでした。
ところがピッチャーは、捕ったボールを一塁手の頭上はるか高くに投げてしまい、ボールはライトを転がっていってしまったのです。
みなが叫び始めました。
「シャヤ、一塁に走れ!一塁に走れ!」と。
シャヤは一塁に走ったことなんて一度もなかったのです。
シャヤは大きな眼を開けて、驚いてじっと見つめていましたが、やがて一塁へドシドシ進み始めたのです。
シャヤが一塁に着く頃にはライトの野手がボールを捕りましたが、その野手は、ピッチャーの望むところがわかっていたので、走るシャヤにタッチしてアウトにする替りに、三塁手の頭上高くにボールを投げてしまいました。
シャヤと神の子供たち#4に続く
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