ある日の午後、シャヤと私が公園を通りかかると、そこではシャヤも知っている少年たちが野球をしていました。
シャヤは「ぼくも仲間に入れてもらえるかな?」と言いましたが、息子は運動がまったくできませんでしたから、きっと誰もチームには入れてくれないだろうと思いました。
でも、ふと思ったのです。
もし息子が仲間に入れてもらえたら、この少年たちとの間につながりを感じてくれるだろう、と。
そこで私は、そこにいた少年の一人に、シャヤも仲間に入れてもらえないか、と聞いてみました。
その子は仲間に聞こうとあたりを見まわしましたが、他の仲間が特に反応しなかったので、その子は自分で決めることにして言いました。
「今八回まできていて、僕らのチームが六点差で負けているんです。
僕らのチームに入ってもらって、九回に打席に入ってもらうといいと思いますよ。」
そう聞いて、私はとてもうれしかったのです。
シャヤがとても楽しそうに微笑んだからです。
少年たちはシャヤにグローブを渡してくれて、センターの守備につくように言ってくれました。
八回裏になってシャヤのチームが攻撃にまわり、何本かのヒットで追い上げましたが、まだ三点差で負けていました。
九回裏でまた得点し、二死満塁、ひょっとしたら逆転できるかもしれないという時に打順がシャヤにまわってきたのです。
こんな場面でシャヤを打席に立たせてくれるだろうか、せっかくの逆転のチャンスを無にしてもいいと思ってくれるだろうか、と思いましたが、バットがシャヤに渡されたのです。
誰もがシャヤにヒットが打てるはずがない、もう勝てない、とわかっていました。
シャヤはヒットどころか、バットを正しく持てさえしなかったのです。
シャヤと神の子供たち#3に続く
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