2006年12月05日

開咬と進化論

今日は朝から冷え込みますね。
京都でも初霜、初氷が観測されたようです。
私は昨夜は久しぶりに熟睡をしました。目覚めは爽快でした。
寒かったですが、キーンと澄み切った朝の空気はさわやかですね。

さあ今日も頑張ってまいりましょう。

下の写真をご覧下さい。


この方はもう10年ほど、2ヶ月に一回きちんとメインテナンスに来られています。


この方は先月初診でお越しになって、今治療の最中です。

このお二方に共通することがあります。
わかりますか?

どちらの方も前歯が全く咬み合っていませんでしょう?
でも、お口を開けて写真を撮ったわけではないのです。


上の方の奥歯


下の方の奥歯

このように奥歯はしっかり咬み合っています。
このような状態を開咬(オープンバイト)といいます。

またここで共通することは、この咬み合わせでも、お二人とも咬みにくいとは思っていらっしゃらないということです。
もし、標準的な咬み合わせの方が、突然このような状態になれば大変不自由な思いをします。

顎関節症の症状がでてくるかもしれません。
そして、まず麺類は食べられません。
麺類はまず前歯で押さえて、噛み切りますから。
でもこの方達は、全く問題なくおいしいラーメンをすすっておられます。
なぜそれが可能か?

ダーウィンが1859年に「種の起源」を発表しました。
なぜか「進化論」は弱肉強食の理論として理解され、環境に適応した強いものだけが生き残るというようなイメージでとらえられていますが、決してそうではありません。
そうであれば地球上に存在するのは、最も環境に適応した一つの種だけということになりますから。

ダーウィンは1831年から1836年にかけてのヴィーグル号で地球一周する航海中に、世界中で環境に適応した様々な生命を目にします。
そしてその様子を、自然選択、生存競争(正確には「存在し続けるための努力」とでも呼ぶべき概念)などの要因によって、環境に適応しうる形質を獲得した種が分岐し、多様な種が生じると説明しました。

つまり、どのパズルのピースも無意識に自分のはまり込む場所を選択し、生命としてそこに落ち着く努力をしているということです。

これが「適応」です。
上記お二方のような咬み合わせでは、本来なら、前歯で押さえられない、咬み切れない・・・それを補うために「舌」が発達します。
つまり舌で食物を上顎の前歯の裏側の付け根の後ろの歯ぐき(硬口蓋)に押さえつけ、またつぶしているのです。
そのため、その部分の歯ぐきにはどなたにでも凸凹があり(口蓋ヒダ)それをしやすくなっています。
なので、こういう咬み合わせの方の舌は平均よりも大きく、また舌の筋肉もよく発達しているのが普通です。
何年も何十年もかかって適応してきたわけです。
この場合は「環境に適応」というよりも、不十分な機能を他の器官が「代替」をしているのですが、ある意味「進化」といえるのかも知れません。

このような方に一般的な「正常」を押し付ける必要はありません。
もちろん症状が出たり、不便さを感じ始めるようでしたら治療ははじめますが。
そうでなければ、常にコンタクトを取り、異常が起きていないかをチェックしていくのが歯科医の仕事となります。

 
 
posted by maruoka-yoshimitsu at 11:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療雑感 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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