患者さんも(私も)、お年を召してきている。
何かのパンフレットで見て、数年前に折りたたみ式の車いすを買った。
いずれ必要になる時もあると思って。
幸い、購入してから1回も使うことなく倉庫で眠っていた。
今朝病院に来ると、裏口の前の道路で、若い女性が倒れている。
その横で、青年が介抱をしている。
その道路は病院があるマンションの入り口につながっている。
多分そこの住人。
本日も朝から暑い。
熱中症か?それなら大変。
でも違った。
泥酔
にいちゃんはなんとか女性を起こそうとしているのだが、ほとんど意識がなく大変。
にいちゃんは汗びっしょり・・・・・というより滝のように汗が落ちている。
ここまで担いできて、力尽きた。
裏口から入り、エアコンをつけ一日の準備をした。
しばらくしてスタッフが出勤。
気になったので外をのぞいてみると、にいちゃんはさっきと同じ場所で途方に暮れている。
「大丈夫?」
「はい。大丈夫です。酔ってるだけなんで。」
「車いすあるけど貸そうか?」
「えっ。いいんですか?」
「いいよ。」
「お願いします。」
で、倉庫から車いすを引っ張り出して持って行った。
なんせ、初めて使うので、たたんであるのを広げるやり方がわからない。
固いのよ。
二人で、わっせわっせと汗をかきながら広げていた。
広がった。
「ギャーァァァッ」
にいちゃんが突然叫び出した。
「痛い。痛い。」
「どこが?」
「手!手!」
見ると兄ちゃんの左右の4本ずつの指がフレームの間に挟まれている。
そこで、また折りたたもうとしたのだが・・・・・・固い。
「痛いぃぃぃぃ。ギャアァァ」
そこに管理人さんも駆けつけて、なんとか折りたたんだ。
もう一度広げ、さて、ねえちゃんをのっけよう。
太ってはいないのだが、結構いい体格で、重い重い重い。
おまけにジーパンが太ももの辺までずり下がっていて、下着も丸見え。
ハンケツどころの騒ぎではない。目のやり場に困る。
また、完全に意識がないこともあって、にいちゃんと二人がかりでやっとこさ車いすに乗せた。
「あとで返しに来て。」
「ハイ。ここの住人なんで。」
にいちゃんは、入口のスロープを車いすを押しながら登っていった。
10分ほど経って、裏口のドアを誰かがノックした。
にいちゃんだった。
「ありがとうございました。お礼は改めて来ます。」
「いいよ。いいよ。
それより、手は大丈夫?」
「大丈夫です。ちょっと大げさでした。」
お互い汗を拭きながらの一件落着。
多分ねえちゃんは、夕方ぐらいに目が覚めるだろうが、その時の頭やら、全身の痛みを想像すると・・・・
お礼に来るかな?(笑)
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