私の病院でもエアータービンを一回使用するごとに滅菌し始めたのは11年前です。
ある日、私の恩師であり、パンキー先生の直接のお弟子さんでもある大阪の川村泰雄先生の講習会へスタッフと参加していました。
私たちはそこで1本のビデオを見ることができました。
それはアメリカABCのドキュメンタリー番組でした。
タイトルは「私は歯科治療でエイズになった」でした。
ここで先日のエントリーの内容が取り上げられており、男女それぞれ1名のエイズ患者のインタビューがありました。
この2名の方とも、エイズの感染が疑われる経路が周囲に何もなかったのにエイズに感染してしまったのです。
そして専門家の調査により、歯科医院での感染の確率が高いことが分かりました。
まだこの時点では、アメリカでもオートクレーブのでの滅菌が一般化していなかったのです。
そのお二人の患者様はインタビューの後半、ずっと泣きっぱなしでした。
「その滅菌にいくら費用がかかるといっても、必要なことなら私はその費用を支払ったのに。
もう私は長く生きることができない。
私がいったいなにをしたというのか?
私に何の責任があるのか?
本当にくやしい。」
このビデオを見終わったあと、スタッフたちは大きなため息をつきました。
そして、昼食後、スタッフの一人が私にこう言いました。
「先生。明日からエアータービン、全部オートクレーブにかけます」。
では、なぜ?エアータービンの滅菌が一般化しないのか?
1.手間がかかる
私がそれまで言い出さなかったのは、この作業にはとても手間がかかるためでした。
オートクレーブにポンとほうりこんで「はい。終わり」ではないのです。
まず、オイルをヘッド内部に注入し、クリーニングと注油を行います。
そして、余分なオイルを抜き取るためにしばらく空回りをさせます。
そしてパックにいれ、オートクレーブを作動させて20分。
あと、冷却をして保管しておきます。
この手間は全てスタッフたちの負担です。今より余分な仕事が増えるだけです。
しかし、衝撃をうけたスタッフは、自分からこの作業をやりますと言ってくれたのです。
私は「ああ。そうか。」とうなずいて、「あと何本エアータービンが必要かだけ教えてください。」と指示をしました。
こころの中ではどんなにうれしかったことか。
そのときのスタッフはもうそれぞれ一児の母となっています。
この作業の煩雑さが一般化しないおおきな理由の一つです。
あともう二つの理由がありますが、それはまた明日・・・


