遠藤太津朗さん死去 銭形平次、京都殺人案内
「銭形平次」「京都殺人案内」など数多くの時代劇やドラマに出演し、名脇役として知られた俳優の遠藤太津朗(えんどう・たつお、本名辰雄=たつお)さんが7日午前6時半、心筋梗塞のため京都市左京区の病院で死去した。84歳。京都市出身。
葬儀は近親者で行った。自宅は公表していない。喪主は長男泰輔(やすすけ)氏。
1960年代から映画やテレビで活躍。時代劇の悪役ややくざ映画の敵役、コミカルな三枚目などで滋味あふれる存在感を示した。
テレビ時代劇「銭形平次」(1966〜84年)では大川橋蔵さん演じる平次のライバルの岡っ引き、万七親分を長年にわたり好演。
2時間サスペンス「京都殺人案内」シリーズ(79〜2010年)では京都府警の秋山捜査1課長を演じ、藤田まことさんの「音やん」こと音川刑事と繰り広げる京都弁の掛け合いがドラマの名物だった。
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長くお付き合いさせていただいた。
ここ数年は足が少し不自由で、体調もあまり良くなかったご様子だった。
お越しになると、
「先生。まだ死ねまへんのや〜。」
と、おの笑顔で冗談をおっしゃっていた。
かなり前だが、まだ舞台でご活躍のころ、
「先生。今日はお願いがあります。
今度舞台で、昭和の初期のころの成金の役しまんねや。
ほれ、昔いましたやんか。出っ歯で前歯金歯でやらし〜いおっさん。
それで、その入れ歯を作って欲しいんです。
仲間にそんな入れ歯持ってるヤツがいてまんねんけど、『どないなってんのや。見せてくれ。』
言うても、『企業秘密や。見せられへん。』言うて見せてくれよらへん。
取り外しする時は、袖でこ〜ぉ隠して見えへんようにしよる。
先生。できますか〜?」
もちろん遠藤さんは入れ歯ではなく、ご自分の歯がきちんとある。
その上に、入れ歯を入れないといけない。
そして、セリフがちゃんと喋れないといけないし、舞台の上で落ちたりしたら大事である。
これはもう特殊メイクの世界。
なんとかご希望の入れ歯を作ったのだが、それをお見せすると、
「先生。こんなんアカン。」
「へっ? どこがですか?」
「もっと出っ歯にしてもらわんと、舞台では見えしまへん。」
「なるほど。でもこれ以上出っ歯にすると唇が閉まらへんし、セリフも無理ちゃいますか?」
「ええから、やってみておくんなはれ。」
で、その場で金具などを分解し、プラスチックを盛って修正をしてみた。
「こんなもんですか?」
「もっと、もっと・・・」
「え〜。大丈夫かなぁ?これぐらい?」
「もっとです。」
「これじゃあ、もう歯が水平に近いですよ。」
「これで、よろしい。」
「遠藤さん。セリフ言えますか?」
すると遠藤さんは治療用のイスの上で、やおら居住まいを正したとおもいきや・・・・
「皆様。本日はありがとうございます。遠藤太津朗でございます。」
と朗々と発声をされ、そのお声は診療室中に響き渡った。
これがプロというものなのかと、感動をした。
遠藤さん。
あの笑顔はもう見られないんですね。
寂しいです。
でも、天国に行かれたら、もう一度舞台に立てますね。
また、特殊義歯が必要になったら知らせてください。
天国便で送ります。
遠藤太津朗さん逝去のニュースを聞いて大変驚いています。秋山捜査一課長の「京都殺人案内」シリーズでの故藤田まこと氏との掛け合いが大変印象深いです
もう再放送でしかお目にかかることができないと思うと悲しいです
遠藤さんのプライベートのお顔は、テレビでみるよりもっともっと穏やかで優しかったんです。
とても、笑顔が素敵で。
晩年もいつも素敵なファッションでお越しになり、身長もかなりあったので、それがとても似合っていました。
本当に残念です。