昨日の夕方のニュースで、
「無痛、音が無い、最新の歯科治療」という特集があった。
見られた方もいるだろう。
マスコミはなぜああいう取り上げ方をするのだろう。
ウソではないが事実を「ねじまげて」いる。
だからテレビは信用する気になれない。
1) 削らずに初期虫歯を治す。
あの■□先生を一目見て思い出した。
今から5年ほど前のある学会。色々な歯科医がブースを出して、発表をしていた。
そこにこの■□先生もいた。美人だし目立ちますよね。
テーマはホワイトニング(薬剤による歯の漂白)
日本ではまだあまり馴染みがないが、アメリカなどでは一般的な治療である。
昨年の学会にワシントン郊外から来られていた技工士さんは冗談半分で、「私の町の住人のホワイトニングはほぼ終わりました。」といっていたほど。
つまり治療法はほぼ確立しており、あとはいかに早く白くするかという程度。
使用されている薬剤の90%以上が高濃度の過酸化水素水。
だがなぜか、この■□先生はハイドロキシアパタイトを使用してホワイトニングをする方法にこだわっておられた。
よほどこのハイドロキシアパタイトがお好きなようだ。
術前、術後のどの写真を見ても、とても白くなっているとは思えない。
また主張される根拠も説得力がなく、盛んに周囲の歯科医から突っ込まれていたが、その返答もトンチンカンでおかしくて仕方がなかった。
あまりに面白いので、講演の休憩時間のたびにこの■□先生のブースにいって楽しんでいた。
今回「Nature」に掲載されたというあれ、成分に全く言及しなかったが、間違いなくハイドロキシアパタイトだと思う。
ハイドロキシアパタイトは歯の表面を覆う硬いエナメル質の主成分。
エナメル質のほぼ97%を占めるリン酸カルシウムの構造物。
一時期はやった「芸能人は歯が命。アパタイト配合」・・・あれである。
これは、唾液の中にも含まれており、歯の表面が一時的に酸性の環境となり、表面が溶けた状態(脱灰という)になったときにこれを修復する作用をもつ。(もちろん大きな虫歯ではなく、顕微鏡的な脱灰状態に限られる)
つまり、あんな高い歯磨き粉を買わなくてもよかったわけだし、プラークが歯の表面に付いている状態で、いくらアパタイトをつけてもそれは無意味である。
昨日出ていた写真、抜いた大臼歯の表面の虫歯が新しいエナメル質で覆われているもの、あれは、歯を高濃度のアパタイト溶液に長時間つけておいたものだと思われる。
つまり、食塩の結晶を濃い塩水につけておくと、大きくなるでしょう。あれと同じ。
あくまで、基礎的な実験データでしかなく、何も新しいものでもない。
そして、■□先生がなおったといわれる虫歯の写真。
歯の表面が茶色くなってはいたが、まだ軟らかくはなっていないごく初期の虫歯。
あらなら、プラークコントロールだけでそんなに問題はないし、フッ素を使っても良いし、
無痛ということが第一なら、テクニックがあれば麻酔もなく、なおかつ痛みも無く治療は可能です。
多分■□先生は、このアパタイトのペーストを歯の表面に塗っているのだろうが、当然硬い組織なので、そんなに短時間で作用はしない。
モニターの方が出ていたが、何分か、何十分か、何時間口を開けているのかのコメントなども全く無い。
もちろんアパタイトの効果を否定するつもりは全くなく、この作用は古くから分かっていることで、使いかたによっては良いものである。
しかし、いまさら「最新の治療」というようなものではない。
あくまでも、報道の仕方に物申したいのだ。
明日はもう一つ取り上げられていた3MIXについて。
2005年03月15日
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