さて本筋に戻る。
品格とは何か?
今京都ブームである。
2004年の京都の観光消費は100億円増えた。観光客は4500万人。
なにを求めて京都にくるのか?
ある東京の経営コンサルタントの方が京都に来られて、3代続く5席だけの小さな寿司屋で一緒に食事をしたことがある。
もちろんここは一見さんお断りである。
その時におっしゃられた言葉。
「京都はすごいよ。
100年経っても同じ店構えで商売をしている。
これが他の町だったら100年経ったら大きくなるか、なくなっているかのどちらかだ。」
「うちなんか、まだ100年も経ってへん若造です。
あの鯖寿司屋はんあたりで300年ですしなー。」
ちなみにお値段が超高級ではない。ご主人1人でやられていて(5年前に亡くなられた)たまに奥さんが手伝う程度。お任せで1人1万円ほど。
ただ、壁には菊池寛がこのお店のお寿司を誉めた文を書いた色紙がかかっているし、サイン帳には川端康成の直筆の俳句が書いてある。
観光寺院を訪れるのもいいが、京都の真髄はこういうことだ。
では「一見さんお断りなら一般の人はそんなとこに行けないではないか」となるのだが、これが京都の本質を守ってきたルールである。
20年ほど前であるが、新聞の投書欄にこのような投書があった。
「私は久しぶりに京都に行った。
夕食を食べようと、ある古いお店に入った。
客はほとんどおらず、席は空いていたのに、『予約席です』と言われ、入れてもらえなかった。
あの予約ですと言うのはウソで、一見さんお断りなのだろう。
押し問答になり、腹が立って戸を蹴って私は帰った。
京都の人は地方の人間を馬鹿にしている。」
その1週間後、ある女将さんが投書をされた。
「一見さんお断りは、決してお高くとまっているわけではありません。
私たちは、自分のお店に来ていただいている馴染みお客様に、充分にくつろいでいただきたいのです。
誰でもお店に入れてしまうと、お金はそら儲かるかもしれません。
しかし、異質な方が入ってくると、お店の雰囲気が乱れます。
それでは長年ご愛顧いただいているお客様に申し訳ありません。
現にあなたは、腹が立ったからといって、戸を蹴られたのですよね。
そんなあなたを入れなかったそのお店の判断は、間違えていなかったと思いますよ。」
ある祇園のお茶屋の女将さんの話。
「この前、お2人の男性が見えましてな。
『船員です。久しぶりの陸やし、一回祇園の座敷で遊んでみたい。』言わはって、そうやな、50万円ぐらいありましたやろか。
札束を玄関口に置いて、『これで遊ばしてくれ』言わはったんどす。
『そんなぎょうさんいらしまへん。そやけど、私口下手でしてな、知らん人とお話ようしいしまへん。今日のところはお引取りくれまへんやろか?』
そう言うてお断りしましたんどす。
『金は払う言うてるやないか』ゆうてだいぶ怒らはりましたけど。」
もちろん口下手というのは大嘘で、口が3つはある女将さん。
ちなみに、4、5人で行って、そう贅沢さえしなければ、舞妓さん芸妓さんと遊んでも下手なクラブに行くよりは安いし、値打ちがある。
わけのわからないボトルキープといったものもない。お酒は何をいくら飲んでも料金に差はない。
またきちんとした紹介者があればよく、一回いって認められれば、あとは顔をすぐに覚えているのでフリーパス。
最近のライブドアの社長を見ているとこれらのエピソードを思い出してしまう。
「入ろうとしても入れてくれないのだから、こうでもしないと仕方がない。」
という発言があった。
こういう考え方は京都では一番嫌われる。
決して閉鎖性の問題だけではなく、堀江氏の資質にも問題があるのだ。
現に、プロ野球の新規参入に関しても、三木谷氏、孫氏の参入は何も問題がなかった。
あなたがそういう人だから入れてもらえないのですよ。
もちろんフジテレビにも隙があったわけで、
トヨタの奥田社長が
「フジテレビも脇が甘いね。堀江さんも金があったら何でもできるというのはネ。ちょっとねー。」と言っていたが、トヨタは豊田織機から始まる老舗、その旦那のお言葉。
まあ、これが京都なら、表向きは
「フジテレビはんも大変ですなー。まあおきばりやす。」
裏では
「フジテレビも抜けたことや。あんな若造につけこまれてアホやなー。恥さらしてしまわはった。」
堀江氏に関しては、
「ふーん。ああゆうお人やさかいな。」
こんなとこだろうか。
「企業は株主のもの」という言葉をよく聞くようになったが、そうだろうか?
まず企業は創業者の苦労で始まる。
そしてそれから代々の経営者を支えてきた従業員とお客さまのものである。
出資した株主の功労ももちろんあろうが、それは一番後である。
単なる株=お金の操作だけで企業を牛耳ろうとするような考えは下品。
品格はある種「変わらないこと」と言ってもいいと思う。
変化だけがよいことではない。
変わらずにやっていくためには、正しく揺るぎのない理念、人の心を第一に考えての行動を常に必要とする。
この2点を見失うと、どちらの立場であっても「恥さらしてしまわはった。」となるのだろう。
追記1
小学校6年の娘との会話
「お父さん。フジテレビとライブドア、どっちが悪いと思う?」
「いい悪いの問題じゃないけど、まあ、ライブドアやろなー。」
「私もそう思う。」
追記2
ライオンズクラブの活動で、最近嵐山に行くことが多い。
奥のお寺の方にいけばそうでもないのかもしれないが、渡月橋のあたりはすっかり様子が変わってしまった。
あれが京都だろうか?
タレントショップにコロッケ屋、これってここに必要だろうか?
追記3
京漬物。
珍しく京都の老舗が変わっていく。
○○、××、△△立派なビルになった本店の前に観光バスが止まり、観光客がたくさんのお土産を下げて帰っていく。
千枚漬けやすぐきならまだいいんだけど、あの袋入りのお漬物、あれはお漬物ではありません。
ほとんどが調味液漬け。
エバラ浅漬けの素とまあ同じ。おいしいとおもうのかなァ。
この前、いただき物を食べたら味の素の味がした。
2005年02月27日
この記事へのコメント
コメントを書く
この記事へのトラックバックURL
http://blog.seesaa.jp/tb/2162515
この記事へのトラックバック
http://blog.seesaa.jp/tb/2162515
この記事へのトラックバック


