2005年02月25日

小児治療の原則


本日で治療が終了。

最初来た時は泣き喚いていた。
お母さんも、
「この子はいつもこうなんです。
治療できるかどうか?」
といいながら、結構きつく叱っておられた。

「治療が怖くてイヤなのは当たり前です。
大人でもそうでしょ?
そんなにきつく叱らないで。
それでは子供の逃げ場がなくなります。」
と言った記憶がある。

当院での小児治療の原則は、
1.診療室に入るのは子供だけ
2.泣いている間は治療をしない。必ず泣き止んでから。
3.手や足、体を抑えない。自分で我慢することを学習させる。
書いてしまえばこの3点だけ。

もちろんそう容易くはない。
泣き止むまで、言って聞かせる。
あまり泣き声が大きいときは、スタッフルームに連れて行き一対一でお話合いをする。
最初が大事なので、第1回目の治療時には一人で診療用チェアーに座れるところまで必ずやる。
そうしないと、2回目もただ泣くだけになってしまう。

虫歯になっていること。
このままだと、もっと痛くなって、ご飯が食べられなくなること。
いくら泣いても、かまわない。でも泣き止むまでは絶対に帰れない。
今日は、泣き止んで、一人で診療室に行ってイスに座ること。
そして、先生に口の中を見せること。
これができれば今日はすぐに帰れる。

このことを、なだめたりすかしたり、厳しく優しく、とにかく繰り返す。
それができると、少し誉める。それで当たり前という感じで。

このスタッフルームでの会談は子供と2人だけでやるので、スタッフは何が起こっているのかわからない。
ギャーギャー泣いていた子供が30分ほどすると出てきて、自分で診療イスに座りに行く光景がとても不思議だったようだ。
「先生。中で何してるんやろう。」
「ええクスリがあるんや。それ飲ませると一発でおとなしゅうなる。」
もちろん冗談だが、半ば信じられていたときもあった。

もちろん、約束は必ず守る。
「口開けたぞ。チャンスや!ごまかしてやってしまえ!」
というようなことは決してしない。
そして、次回の治療についてきちんと説明してやる。
「できるな?」
「うん。ヒック。ヒック。痛い?」
「痛かったら麻酔するから。」
「注射?」
「そう。」
「痛いよー。」
「最初だけチクッとするけど、大丈夫だよ。」

ここで大事なのは決してウソを言わないということ。
痛いときは、「ちょっと痛いよ。」「チクッとするよ。」と必ず言ってやる。
痛いのに、「痛くないよ。」と言えば、次から子供は私を信用しなくなる。
また何も言わずに痛みを伴う処置をすれば。子供はいつ痛くなるのか?と身構えてしまう。

よく待合室でお母さんがこう言っている。
「先生、何にもしはらへんから。」
「痛くないから。」
このときは、必ずお母さんに注意をする。
「今日は本当に何もしなくていいんですか?(笑)
痛くないからといわれて連れてこられて、痛かったら、子供は私のことを信用しなくなるんですよ。
『がんばろうね。』とだけ言って連れてきてください。
あとは私が全責任を持ちます。」

最後に大事なことは、赤ちゃんと子供の境目を判断してやるということ。
子供は聞き分ける。
赤ちゃんには理屈は通じない。
理屈の通じない赤ちゃんに一対一で理屈をいっても、それはいたずらに恐怖感を与えているにすぎない。
そう感じたら、私はすぐにやめる。
「〜ちゃんは、まだ理屈がわかりません。
これ以上やったら、歯医者の前を通るだけで泣くようになって、歯ブラシを見ただけで逃げ出すようになるかもしれません。
一番大事なことは永久歯をよい状態で保つことです。いま無理をして歯医者嫌いにすることはよいことではありません。
まだ痛みもないようですし、あと3ヶ月ほど待ちましょう。」
この境界は、発達の早い子でも3歳2〜3ヶ月だと思う。

まあ、何でもシンプルで根拠のある原則と根気が大事ということでしょうか。
今日この子が実感したであろう達成感はきっと何かの役に立つだろうし、帰りがけに小さい頭をちょこんと下げて「先生。ありがとうございました。」と言って帰った。


posted by maruoka-yoshimitsu at 10:51| Comment(0) | TrackBack(0) | 小児歯科 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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