2004年12月25日

「踏んだり蹴ったり」事件

5年ほど前のことである。
診療が終わって犬の散歩に行った。そのころはボルゾイという超大型犬を飼っていたので、運動量が多く自転車で走らせていた。
五条烏丸の交差点(かなり大きい)に来たとき、交差点の真ん中で人だかりがしているのが見えた。
事故らしい。
こういう場合、歯がつくとはいえ医者の性で、「何か出来ることは?」と思ってしまう。パール(ボルゾイの名前)を歩道の手すりにつなぎその場所に行ってみた。

すると、バイクが倒れており、その横で若い女性が横すわりになって、「痛い。痛い。」と泣いている。
見ると、左足の脛の真ん中が不自然に少し曲がっている。骨折しているようだ。そっと触ってみると、やはり折れているが、他に外傷はないようだ。
「頭は打った?」
「お腹は痛くない?」
「ううん。」
添え木をしようかとも思ったが、この街中だし、周囲の人に、
「救急車は呼びましたか?」
と聞くと、「呼んだ。すぐ来る。」と誰かがいったので、女性の体をそっと動かし、楽な姿勢にして、「大丈夫だから。救急車すぐ来るし。」と励ました。
すると、若い女性が「○○ちゃん。どうしたの。」と駆け寄ってきた。
偶然に友達が通りかかったらしい。

「友達?」
「そうです。」
「足の骨が折れている。お家の電話わかる?」
「わかります。」
「もうすぐ救急車がくるから、あなたそれに一緒に乗っていってあげて。」
「はい。わかりました。」

そのとき、作業服を着た50歳ぐらいの男性が近づいてきた。
事故の当事者らしい。右折の時に巻き込んで、事故になったようだ。車を道路の端に移動させやってきたのだろう。
事故を起こしたショックで、顔面蒼白である。

倒れている女性に近づき、
「どうしたんや。どこや。」
「足が、足が痛い。」
そうしたら、動揺している男性は、
「ここか!」
といきなり、骨折している足を鷲づかみにして、激しく揺すったのである。
女性は、
「ギャー!痛い。痛い。」と叫んだ。
私は思わずそのおっさんを「アカン」と言って、突き飛ばした。

そのころ、救急車のサイレンが聞こえだし、到着した。
救急隊員に、
「左足が骨折しています。この人の友達がいっしょに乗っていきます。」
と言って、私は現場を離れた。

私達歯科医も患者様がショックなどを起こした時のために、救命救急の訓練を受けることがある。血管確保など色々な緊急時の原則があるが、ある講習で講師が、
「自分の治療中の患者がショックを起こしたとき、当事者は動揺します。正常な判断ができなくなることがよくあります。ですから、何をするにもまず原則は、掃除のおばちゃんでもだれでもいいから第三者を呼びなさい。」
と言っていたのを思い出す。
人間動揺すると、やはり何をするかわからないものだ。

しかし、あれは痛かったと思う。まさに踏んだり蹴ったりだった。
posted by maruoka-yoshimitsu at 09:08| Comment(0) | TrackBack(0) | 出来事 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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