2006年02月12日

「中国人の愛国心」3.徳

 
「中国人の愛国心」2.歴史より続く

tyuugoku.gif 「中国人の愛国心」

著者の王敏は中国・河北省に生まれ、現在は法政大学教授。
専攻は日中比較」研究。

中国人からみた日本人と中国人の感性の違いと、それを生み出した特に中国の歴史的風土の解説であり、非常に説得力があり、また理解しやすい。
あの反日デモはなぜ起こったのか?
なぜ中国はあれだけ靖国問題にこだわるのか?
いつまで「謝れ、謝れ」と言い続けるのか?

これらが一挙に解決できた。
なおかつこれからの対処法も理解できる。

以下自分自身のまとめとして

中国人の心を読み解くキーワード
1.愛国
2.歴史
3.徳
4.中華
5.受容と抵抗

3.徳

中国人はなぜこれほどまでに日本に「戦争の反省」を求めるのか?

それは、中国人の精神性の根幹そのものに「戦争への反省」があるから。
中国では殷、周王朝の後、春秋戦国時代という戦乱の時代が続いた。
この時代には孔子などたくさんの思想家が生まれ、諸氏百家と呼ばれた。

彼ら思想家のテーマはすべて「国家の統一と平和」に集約される。
諸氏百家たちの根幹にあるのは、春秋戦国時代の「戦争への深い反省」だった。

「戦争への反省」は戦後になって突如言い出したものではなく、二千年以上もさかのぼる聖人君子たちがその起源であり、武力の代わりに国の根幹となるものが「徳」であった。
政治システムにおいても、王朝の創設までは将軍が力を持つが、それ以後は武官より文官のほうが上に位置づけられる。

日本では、人格を判断する場合に「いい人」「やさしい人」などが基準となるが、中国では「徳があるかないか」が大きな判断基準となる。
皇帝には特に高い「徳」が要求される。

中国はキリスト教のような宗教とはまったく縁のない形で倫理道徳を確立した、特異な国である。

中国人の考え方の中で、一番上位にくるのは「天意」であり、これを受けて国を治めるのが「皇帝」。
皇帝は「天意」に基づいて「徳」を持って国を治めなければならず。皇帝に「徳」がない場合は、「天意」によって、民衆が皇帝を辞めさせられるという思想が今も生き続けている。

「皇帝に逆らったから愛国心がない」という考えはなく、むしろ徳のない皇帝の交代を迫ることは愛国行為のひとつとされる。
これが「愛国無罪」。

反日デモにしても激しい表現に慣れている中国人は、「ああ、またやっているな」という感覚である。

 
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:02| Comment(0) | TrackBack(0) | 丸岡書評 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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