2004年12月06日

やはり乱れが残ってしまう

前歯をきれいにしたいとの希望で来院された。

ただ、条件があり、「絶対に矯正はしたくない!」
難しい。


シミュレーションをして、「乱れが残りますがよろしいか?」と説明をすると、
「それでもかまわない。」

治療終了。

ご本人は大満足なのだが、私は素直に喜べない。
きれいになったと言えば言えるのだが、歯の付け根の乱れが如何ともしがたい。
欲求不満が残る治療例である。
posted by maruoka-yoshimitsu at 10:23| Comment(2) | TrackBack(0) | クラウンブリッジ | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
毎日読ませていただいています。特に写真入り症例は参考になります。私は歯並びはよいほうで、歯医者さんには、もっぱら若い頃の虫歯治療の繰り返しでお世話になっています。だから、歯並びが悪い人の気持ちはよくわからないのですが、私からしたら、虫歯のないきれいな歯を削ってセラミックをかぶせたり、ブリッジを作るというのは、将来の根の虫歯や、破折につながり、歯をもろくするように思えるのでしょうが、歯医者さんとしては、どのようにお考えでしょうか?(いくら歯ブラシをきちんとしても限界があるような気がするのですが。)
Posted by はる なのみ at 2004年12月08日 01:21
はるさん、ありがとうございます。初めてコメントをいただけました。
歯に対するコンプレックスがどういうものかわかっていただくために、ある患者様からいただいたメールの一部をご紹介します。
「私ごとなのですが、思春期の頃、一度歯医者さんに相談したことがあります。そのときは、虫歯も無い健康な歯を削ることは将来何らかの問題が起きますよと言われ断念しました。というよりは、反対していた母とその歯医者が結託してた事なんじゃないかと想像しています。それなりに生きてきたつもりですが、身内からアンタは笑顔が無いとか声が小さいとか言われ続けるとやっぱり内心傷つきます。私もできれば削りたくはないのですが、他に方法が無いのであれば仕方無いと思います。一度診察して頂いた方がいいですね。着色歯と書かれるのがいやで学校の検診以来見てもらったことが無いのですが、歯石やなんやで大変なことになっていると思われます。」
以下が私の返事の一部です。

「確かに、歯はできるだけ削ったり、抜いたりしないほうがよいと思います。
しかし、何のための歯なのでしょうか?
美味しいものを食べる、思いっきり笑う。楽しくしゃべる。
歯は人の人生をよりよいものにするためにあるはずです。
その障害になっているものがあるのなら、それを取り除いてあげるのが私の仕事だと思っています。」

今、健康ブームですよね。でも健康であることが人生の最大の目的なのでしょうか?
人生を最大限楽しむためには、健康であればよりよいということですよね?
いくら健康でも、内容のない人生は空虚です。反対に、いろんな障害をお持ちでも、充実した人生を過ごされている方もたくさんいらっしゃいます。

この症例の私の第一選択はもちろん矯正治療です。
しかし、この患者様がいらっしゃったとき、
「矯正治療が必要ですよ。」
「矯正はしたくないんです。」
「では、歯は削らないほうがよいので、サヨウナラ。」
こうするのがよい歯科医でしょうか?
また、矯正治療の辛さを本当に理解できますか?

「虫歯の歯なら削るのもいいのですが?」これも患者がよく言われる言葉です。虫歯は歯牙う蝕症という病気です。この方の前歯は、叢生、反対咬合、犬歯唇側転位の病名がつきます。どちらも病気には違いがないのですが?
どんな治療もリスクを伴います。そのリスクを第一に重要視するのであれば歯科医院に行かないことが一番いいことになりますね。

もちろん、このような治療をする場合の当院におけるプランニング、治療方法とそれに伴うリスクの説明、メインテナンスは、はるさんが想像されている以上にシビアです。
はるさんのおっしゃるように、歯ブラシでは限界があります。ブラシだけできれいに磨けというのは間違いです。それは不可能なんですから。はるさんはフロスをお使いですか?

ここで大事なのは、「自己責任」ということです。これは「あんたの勝手やん」ということではありません。全ての情報を開示し、それに基づいて患者様が治療法を選択されます。そして不幸にして、予想されたトラブルがおきた場合、それを患者様が受け入れ、また私はそのトラブルに対し全力で対処します。そこで、決して患者様は不満をおっしゃいません。プランニングの段階までに、私はその患者様がどういう人かをしっかりと見極めます。そして、上記のような自己責任の考えかたができない方の治療はお断りすることもあります。

さて、ここでもう一つ抜歯を例にとりましょう。
私はアメリカで、「白か黒か?その中間のグレーゾーンにある歯は抜歯をしなさい。」と教育されました。意外に思われるかもしれませんが、抜歯の判定に関してはアメリカ人のほうがはるかにシビアです。
これは、再治療を前提としないという考えかたによるものです。虫歯治療の繰り返しというようなことも一定以上のレベルの歯科医の間では大変恥ずかしいこととされます。
日本で「歯を抜かない歯医者はよい歯医者」となっていますが、はたしてそう言いきれるでしょうか?
たしかに、抜く必要のない歯を抜くことは悪です。しかし、動いてかみづらい歯、舌や頬にすれる歯、完全に横の歯に重なったりしてかみ合わない歯、よく炎症を起こす歯・・・
よく患者様がおっしゃいます。「この歯咬みにくいので抜いてくださいと言ったんですが、前の先生は『歯は抜かないほうがいいから』と言って抜いてくれなかったんです。」
もちろん私の判定も抜歯の歯です。

自己責任と同じように、日本人の誤解しやすいのが「手段と目的」です。
何をするにもまず目的を考えなければなりません。それが決定してから手段を選択していくのです。
治療の目的
人生を精一杯たのしめるお口の環境を作り上げ、それを維持すること。
(歯を抜かないこと、削らないことではなく)
治療の手段
充填、クラウン、義歯、矯正、インプラント・・・ご希望に全て対応できるように。
抜かずにきれいにしたい→矯正治療
ブリッジをするために歯を削りたくない→インプラント
早くきれいにしたい→クラウンブリッジ
楽な治療を選びたい→義歯
etc.

もちろんこれはあくまで私の考え方であり、他の考え方を否定するものではありません。
わたしがこのように考え方を公表するのは、こういう考え方をもった歯科医の病院であることをしっかり知ったうえで来ていただきたいと思っているからです。
Posted by 丸岡芳充 at 2004年12月08日 11:10
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