2004年12月05日

医者の教養と人格

京都大学の元総長 岡本道雄氏が「人生はわからない」を出版された。
医学部出身の岡本氏が90歳になって、脊髄血管梗塞で倒れ、その闘病生活の記録と感想である。
そのなかで、
「医者にとって大切なことは教養、そして人格だ。」
と書かれている。

9年ほどまえであるが、私の師のK先生が、東京で「歯科医療を考える」という一般参加もあるシンポジウムを開催した。
そのなかで、K先生が作られている患者の会の会長(ある科学系の学会の元会長)が開口一番、
「歯科医と言うものには教養が無い。」
とおっしゃられ、私は大きくうなずいた。

私は歯科医の最大の某組織に所属はしているが、参加はしない。
この、宴会はひどい。お酒が入ると、車か、ゴルフか、〜の話しかない。そして、酔ったときの振る舞い方は、恥ずかしくてとても一緒に座ってられるものではない。
宴たけなわ。ある仲居さんがお皿をさげながらつぶやいた一言。
「これが先生か・・・」
学会等のあとの懇親会にもまず行かない。
切った、貼った、どんなインプラントをいれた。治療費をいくらもらった・・・こんな話ばかりである。

10年前、アメリカのパンキー研究所での講義で教わったことが私の診療の基本となっている。
「あなた方は歯科医です。歯を治すことが仕事です。
しかし、歯が一人で歩いてきてあなたの診療室のドアをノックしますか?
歯は、必ず患者様の口にはえた状態でやってきます。
ここで、患者様は『この歯を治しておいてください』と言って、歯だけを置いていってくれますか?
あなた方は、歯を患者様と共に治療しなければならないのです。
あなたが治療するのは患者様そのものなのですよ。」

私の師K先生。
「あなたの目の前に座っている患者様。
一番大事なことは、その人の歯がどういう状態かなのではなく、その人がどういう人か?どういう思いを持っているのか?それを理解することが一番大事なことなのです。
そのためには、本を読みなさい。映画を見なさい、ドラマを見て泣きなさい。人と会話をしなさい。
人間を理解する能力を向上させなさい。
その上で、もしあなたがその人を治療するのを嫌だと思えば、それは許されることです。」

永 六輔さんの「大往生 」の中にこんな言葉があったと思う。
「私は、何歳になっても芝居を見て、コンサートに行くような先生を名医だと思う。」

K先生。
「右脳と左脳。技術と知能。どちらも同じように大事です。」

これが私がいつも考えていることです。


posted by maruoka-yoshimitsu at 09:37| Comment(0) | TrackBack(0) | 診療ポリシー | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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