アレキサンダー ........................................................................
紀元前356年、マケドニア(現在のギリシャ)の王の息子として生まれ、20歳で王に即位。
32歳で急死するまで東方へ侵攻し続けたアレキサンダーの生涯を、オリバー・ストーン監督が、破格のスケールで再現していく。
両親の確執や父の暗殺などで心に屈折感を抱えながらも、征服欲に燃えるアレキサンダーは、過酷な戦いや臣下の裏切り、自らの体力の限界も乗り越えながら、ついにインドまでたどり着く。
本作でもっとも驚かされるのは、アレキサンダーの愛を正面から見つめたこと。親友ヘファイスティオンとの関係など、男同士の友情を超えた濃密な愛が丁寧に、かなりこってりと描かれている。
主演コリン・ファレルは、まだあどけなさの残る10代から、亡くなる30代までの変化を表情や肉体の動きで表現し、俳優としての素質を見せる。
アクション場面では、前半の砂漠でのダイナミックな戦いと、後半、ジャングルでの象や馬が入り乱れるバトルが圧巻で、バビロンの都を鮮やかな色彩で再現した映像にも息をのむ。
問題点は、大王の侵攻の意図が曖昧なことと、達成感が観る者に伝わってこないこと。侵攻の合間での作戦会議がやたらと長く、映画の流れを止めてしまっている。Amazon(斉藤博昭)
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年齢を経るにつれ、「古典」「基礎」「哲学」の重要性を痛感する。
冒頭に引用されるのがこれ、
「幸運は勇者に味方する。」
ウェルギリウス [ アエネーイス ]
人の心のありようは何千年経ってもそう変わらないということか?
アンジェリーナ・ジョリーがアレキサンダーの「妖女」と言われた母親オリンピアスに扮する。
彼女にしては今までとはかなり違った雰囲気を醸し出すことが出来ている。(ファンでね)
少年アレキサンダーに蛇をさわらせながらこう言う。
「ためらうと咬みつかれるわ。
忘れないで、
決してためらわないで。
蛇は人間と同じ。
何年も手元における。
餌をやり育てるの。
それでも時として裏切るわ。
傷つけてはだめよ。」
そして父親のマケドニア王フィリポスは、武芸と共に哲学者アリストテレスをアレキサンダーの師とし、文武両道の教育を行う。
オリバー・ストーンらしい超大作なのだが、「大作を作る」ことを目的としたがためにこのテーマを選んでいるように思う。
だからインドまでに達する征服に関する大王の意図があいまいになっており、唯一この言葉にのみ明らかになる。
「世界中の人々を自由に!
アキレスやヘラクレスより素晴らしい。
人間に火を与えたプロメテウスに匹敵する偉業だ。
犠牲はつきものだ。
死が訪れた時に、『何を成し遂げたか?』大切だ。」
アレキサンダーは何年にもわたり辺境の地をさまよい、インドにまで達する遠征を行う。
しかしついには「子供の顔さえ見たことがない」と側近の部下に責められ、激怒した彼は少年時代から苦楽を共にしたその部下を殺し苦悩する。
「最善を求めすぎることは傲慢と同じことだ。
今や私は暴君だ。」
「君は人間だ。過ちも犯す。」
皆君を誇りに思い、許してくれる。」
「全てが間違いだったのだ。」
そして、ジャングルの中でのインドの象軍との壮絶な戦い。
その戦闘におけるケガがもとで32歳の若さで急逝する。
この姿が「グラディエーター」のローマの哲人皇帝マルクス・アウレリウスとダブってしかたがない。
絶頂期のローマ帝国の皇帝の地位にありながら、辺境の地の平定に明け暮れ、その遠征のテントのなかで、「自省録」を書き続ける。
その一節
「カエサル的にならぬよう、その色に染まらぬよう注意せよ。
なぜならそれはよく起こることなのだから。
単純な、善良な、純粋な、品位のある、飾り気のない人間。
正義の友であり、神を敬い、好意に満ち、愛情に富み、自分の義務を雄々しく行う人間。
そういう人間に自己を保て。
哲学が君を作りあげようとしたその通りの人間であるように努力せよ。
神々を畏れ、人を助けよ。
人生は短い。
地上生活の唯一の収穫は、敬虔な態度と社会を益する行為である。」
しかしこんなアウレリウス帝も晩年は幸せではなく、わが子に暗殺されたという説もある。
大哲学者アリストテレスを少年期の師としたアレキサンダーも「人」としては幸せだったのか?
「かつてバゴアスが言った。
アレキサンダーにとって、世界の果てより愛を探すほうが難しい。」
では哲学は実際には人を幸せにできないのか?
そうであって欲しくはないのだが・・・
こんな台詞もあった。
「愛しすぎる者はすべてを失う。
醒めた心で愛するものは長く続く。」
これが答えになるのだろうか?
何事もほどほどに・・・ということ?
評価 ★★★☆☆


