小学生同士の喧嘩で殴られ、歯が抜けた。
小さい歯は乳歯。
戻したところ。
押さえながら、ワイヤーと接着剤で固定する。
ギブスの役目。
一ヶ月後。
順調に経過している。
三ヶ月後。
固定をはずした。
歯が奥のほうに入っているが、これはもともとここにこのようなはえ方をしていた。
反対側の同じ位置の歯もそのようなはえ方をしている。
これは母親にも確認済みである。
割り箸を咬んでももう大丈夫。
小学生同士の喧嘩である。
いったいどんな殴り方をしたのかと思うが、当たり所が悪いというのはこういうことなのだろうか。
処置当日の夜、小学校の先生から「的確な処置をありがとうございました。」とお電話をいただいた。
学校での事故で生徒が歯を失うことになれば大騒動。
先生もちょっと安心されたのだろう。
受傷からしばらくは、ご両親とも来られるたびにおろおろしていたというのが率直な感想。
「どうなりますか?」と聞かれるのだが、正直なところ「抜けてから1日たった歯でもつきますので、成功するとは思っていますが、最低一ヶ月は待たないと、結果はわかりません。」とお答えするしかなかった。
ちらりと聞いた話では、ある人に間に入ってもらって相手方とお話し合いをしているらしい。
このご一家も大変だが、殴った子供の親御さんも相当に困ったことは想像に難くない。
まあ、満足できる結果になったことは喜ぶべきことなのだが、問題はこれからのこと。
当然この歯は神経を失っている。
神経を失った歯は、変色しもろくなる。
そのあたりの見通しについてもご両親から聞かれるのだが、いくら歯科医でも全てを見通すことは難しい。
事実だけをお話し、「これからどうなるかはわかりません。」とお答えするしかない。
冷たいようだが、実際何年先に変色が始まり、いつからどのように割れ始めるかなど、全てお答えすることは出来ないのである。
このご一家の不幸中の幸いは、当院に来られたということだろう。
(決して自慢をしているわけではありませんのでね。)
もう20年以上前から自家移植(自分の歯を自分の口の他の場所に移して植える)や他家移植(他人の歯を移植する。20年ぐらい前には結構歯科医の間ではブームであった。これは感染の問題があるので、開業前にもう中止している)の勉強をしていたので、これぐらいは簡単な処置なんである。
「芸は身を助く。」
よかったですね。


